尿が出にくい、何度もトイレに行く、夜中に起きるなどの症状には、前立腺肥大症以外の原因もあります。新しい症状や生活に支障がある症状は泌尿器科で相談してください。まったく尿が出ない、または下腹部が強く痛むときは急な尿閉などの可能性があり、すぐに医療機関を受診してください。鍼灸やツボ押しで様子を見る状況ではありません。
前立腺肥大症とは?どんな症状が出る?
前立腺肥大症は、前立腺が大きくなり、排尿に関わる症状を起こす状態です。尿の勢いが弱い、出始めるまで時間がかかる、残尿感がある、昼や夜の排尿回数が増えるなどの症状があります。ただし、症状だけで原因を前立腺肥大症と決めることはできません。感染、前立腺炎、膀胱や尿路の病気、服薬の影響などもあり得ます。前立腺肥大症は良性ですが、それを理由に血尿などを放置しないでください。
早く受診したい症状
- 尿がまったく出ない、または下腹部が強く痛む:急な尿閉などの可能性があります。速やかに救急を含む医療機関へ相談してください。
- 血尿、発熱、排尿時の強い痛み:前立腺肥大症だけと決めず、早めに医療機関で原因を確認してください。
- 頻尿や尿の出にくさが続き、睡眠や生活に支障がある:泌尿器科で相談し、必要な検査と治療を確認してください。
医療機関での確認と治療
医療者は症状、服薬、既往歴を聞き、必要に応じて尿検査や前立腺・排尿に関する検査を行います。症状や希望に応じて、経過観察、生活上の調整、薬、処置・手術などを検討します。薬を自己判断で中断したり、鍼灸に置き換えたりしないでください。特に急な尿閉は早い対応が必要です。
鍼灸やツボ押しで治せる?
前立腺肥大症の排尿症状に対する鍼灸の研究はあります。2017年のレビューでは偽鍼と比べた4〜6週の症状スコアに小さな統計的な差があり、2024年の電気鍼のレビューでも症状スコアの改善が報告されました。ただし、比較方法や研究の質、結果のばらつきに限界があり、臨床的にどれほど意味があるか、長期的な利益があるかは不明です。通常の治療に代わる効果は確立していません。鍼灸で大きくなった前立腺が縮む、尿道の圧迫が解消する、再発を防げるとは確認されていません。旧記事で紹介していた「三陰交」「関元」などのツボ押しについても、前立腺肥大症を治す確立した方法や回数はありません。併用したいときは泌尿器科の担当医に伝えてください。
生活の中でできること
排尿時刻、回数、飲み物、服薬などを記録すると、診察で症状を伝えやすくなります。カフェインやアルコール、就寝前の水分摂取が症状に関係していないかは、医療者と相談して調整できます。水分を極端に減らすと別の問題につながることがあるため、一律に制限しないでください。市販の風邪薬などが尿を出にくくする場合もあるので、薬の使用前に医師・薬剤師へ確認してください。
よくある質問
頻尿があれば前立腺肥大症ですか?
頻尿だけでは判断できません。膀胱、感染、服薬など別の原因もあり得ます。続くときは泌尿器科で相談してください。
尿がまったく出ないとき、ツボを押して待ってよいですか?
いいえ。急な尿閉は膀胱や腎臓に影響することがあります。直ちに医療機関へ相談してください。
鍼灸で薬をやめられますか?
鍼灸を理由に薬をやめないでください。治療の変更は担当医と相談してください。
参考情報
- 米国国立糖尿病・消化器病・腎疾病研究所「Prostate Problems」
- 同「Symptoms & Causes of Urinary Retention」
- 同「Treatment of Urinary Retention」
- 2017年システマティックレビュー「Acupuncture for benign prostatic hyperplasia」
- 2024年システマティックレビュー「Efficacy and safety of electroacupuncture for benign prostatic hyperplasia」
- 米国国立補完統合衛生センター「Acupuncture: Effectiveness and Safety」






