補瀉(ほしゃ)とは?補法と瀉法の違いを図解でやさしく解説【東洋医学の基礎知識】

東洋医学や鍼灸、漢方の世界でよく登場する「補瀉(ほしゃ)」という用語。
これは「補法(ほほう)」と「瀉法(しゃほう)」の2つの基本的な治療アプローチを指し、体のバランスを整えるために重要な考え方です。

この記事では、初心者でもわかりやすいように「補瀉とは何か?」を基礎から図解付きで解説します。
補法・瀉法の違いを理解することで、鍼灸や東洋医学をより深く学ぶ第一歩になります。


補瀉(ほしゃ)とは?【図解で理解する東洋医学の基本】

「補瀉(ほしゃ)」は、東洋医学において「体のバランスを整える」ために行う2つのアプローチです。

名称意味状態の例目的
補法足りないものを補う疲れやすい・冷え性エネルギーや気を補う
瀉法余分なものを取り除くむくみ・熱感・イライラ滞りや邪気を取り除く

📊 図解:「補瀉」の考え方を川の流れで例えると?

(ご希望であれば図を挿入いたします。以下は図の内容を文章で説明しています)

  • 補法(補う)
     → 川の水が少ない状態。雨を降らせて水を補い、流れを良くするイメージ。
  • 瀉法(取り除く)
     → 川にゴミや岩が詰まっている状態。それを取り除いて水の流れを回復するイメージ。

補法(ほほう)とは?エネルギー不足を補う優しい治療法

「補法」は、身体のエネルギー(気・血・津液など)が不足している状態に対して、それを補い元気にする治療法です。

☑ 補法が適している症状の例

  • 慢性的な疲れ
  • 冷え性
  • 風邪を引きやすい
  • だるさ、無気力

これらの症状は、東洋医学では「虚(きょ)」と呼ばれ、生命力が低下している状態を意味します。
鍼灸では、優しい刺激や温かみのある手技(例:補鍼、温灸など)で元気を補っていきます。


瀉法(しゃほう)とは?悪いものを排出する浄化的な治療法

「瀉法」は、体にとって不要または有害なものを取り除くための方法です。
イメージとしては、「体の中のゴミ掃除」といえるでしょう。

☑ 瀉法が適している症状の例

  • 熱がこもる(のぼせ)
  • むくみ・便秘
  • イライラしやすい
  • 肩こりや頭痛(実熱タイプ)

これらは「実(じつ)」と呼ばれる過剰・滞留の状態です。
鍼灸では、強めの刺激で体の表面にある「邪気」を追い出すような技法(例:散鍼、瀉鍼)を使います。


補瀉の使い分け|小児鍼や家庭用商品への応用

🔹 小児鍼では「補法」が基本

子どもはエネルギーが未熟で繊細なため、やさしい補法の刺激が中心になります。軽いなで鍼などが好まれます。

🔹 成人では「補瀉のバランス」が重要

大人の場合は、虚実のバランスに応じて補法・瀉法を組み合わせます。

🛠 補瀉両用の道具も登場!

近年では、補法・瀉法どちらにも対応できる「補瀉両用」と記載された鍼灸器具も市販されています。症状や体質に応じて使い分けが可能です。


補瀉を理解するとできること|商品選び・セルフケアが変わる!

🎯 知っておきたい選び方のポイント

  • 虚の症状(冷え・疲労)→ 補法タイプを選ぶ
  • 実の症状(熱・滞り)→ 瀉法タイプを選ぶ
  • 迷ったら「補瀉両用」と書かれた製品が安心!

補瀉の理解があれば、鍼灸院での施術も納得しながら受けられ、自分の体調に合ったセルフケアアイテムを正しく選べます。
鍼やお灸、ローラー鍼、温灸器など、さまざまな道具に応用可能です。


まとめ|補瀉は東洋医学の土台。まずは基本の理解から

補瀉(ほしゃ)は、東洋医学のあらゆる治療に通じる「基本中の基本」です。

  • 補法(ほほう)=足りない部分を補う → 疲労・冷え・元気不足に対応
  • 瀉法(しゃほう)=悪いものを排出 → 熱・むくみ・滞りに対応

この2つをうまく使い分けることで、体調を整え、自然治癒力を引き出すことができます。

施術を受けるときや、自宅でセルフケアを行うときにも、この「補瀉」の視点を取り入れることで、より効果的な結果が得られるでしょう。


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