変形性膝関節症(膝OA)とは
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が摩耗し、炎症や痛みを引き起こす疾患です。特に中高年層に多く見られ、次第に症状が進行するため、早期のケアが重要です。
主な症状
- 痛み:動き始めや階段昇降時に強い痛みが出やすい。
- 腫れと炎症:膝関節に腫れや熱感を伴う。
- こわばり:特に朝起きた直後や長時間座った後に膝が動きにくくなる。
- 可動域の制限:膝が曲がりにくくなるなど、動きが制限される。
- 変形:進行すると膝関節の変形が見られることがある。
主な原因
- 加齢:関節軟骨の自然な摩耗。
- 体重増加:膝にかかる負担が大きくなる。
- 過剰な使用:スポーツや長時間の膝への負荷。
- 外傷:過去の膝のケガが発症の引き金となる場合がある。
変形性膝関節症に対する鍼灸の効果
鍼灸は、膝関節の痛みや炎症を軽減し、機能改善を図るための効果的な治療法です。以下のような作用が期待されます。
1. 痛みの軽減
鍼の刺激が神経伝達に作用し、痛みの感覚を抑えます。また、鍼灸施術によりエンドルフィンが分泌され、自然な鎮痛効果が得られます。
2. 炎症の抑制
ツボ刺激を通じて免疫機能を調整し、炎症反応を抑えます。これにより、膝の腫れや熱感が軽減されます。
3. 血流の促進
膝周囲の血流を改善することで、組織の修復を促進し、筋肉の柔軟性を回復させます。
4. 関節可動域の改善
硬直した膝周囲の筋肉や腱をほぐし、動作をスムーズにします。
主要なツボと施術法
主要なツボ
- 足三里(あしさんり)
- 位置:膝下、外側のすねの骨の際。
- 効果:膝の痛みを軽減し、全身の免疫機能を高める。
- 膝眼(しつがん)
- 位置:膝のお皿の両側にあるくぼみ。
- 効果:膝関節の炎症を抑え、可動域を広げる。
- 陰陵泉(いんりょうせん)
- 位置:膝の内側、脛骨の下部。
- 効果:腫れを軽減し、膝周囲の血流を促進する。
- 陽陵泉(ようりょうせん)
- 位置:膝外側、腓骨頭の下部。
- 効果:膝周囲の筋肉の緊張を緩和する。
鍼灸施術法
- 鍼治療
- 膝周辺のツボに鍼を刺入し、血行を促進しながら痛みを軽減します。
- 温灸治療
- 膝に温灸を施し、炎症の軽減と冷えによる痛みを緩和します。
- 全身調整
- 膝だけでなく、腰や足首など、膝と関連する部位の調整も行い、全身のバランスを整えます。
- トリガーポイントアプローチ
- 筋肉の緊張が強い部位にピンポイントでアプローチし、痛みの原因を取り除きます。
セルフケアの提案
鍼灸治療と並行してセルフケアを行うことで、効果をさらに高め、再発を予防できます。
1. 温活を取り入れる
膝を冷やさないように心がけましょう。入浴や温湿布を使って膝を温め、血流を促進します。
2. 筋力トレーニング
太ももの筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることで膝への負担を軽減します。椅子に座った状態で足を上げる簡単な運動がおすすめです。
3. 正しい姿勢を意識
歩行時には膝が正しい位置で動くよう、姿勢を意識しましょう。必要に応じてインソールなどを活用してください。
4. 体重管理
体重増加は膝への負担を増すため、バランスの良い食事と適度な運動で体重を管理することが大切です。
まとめ
変形性膝関節症(膝OA)は進行性の疾患ですが、鍼灸治療によって痛みや炎症を和らげ、生活の質を向上させることが可能です。鍼灸は局所的な治療だけでなく、全身のバランスを整えることで膝への負担を軽減します。
また、日常生活でセルフケアを取り入れることで、鍼灸の効果を持続させ、再発を予防することができます。膝の痛みや不調を感じたら、早めのケアを心がけ、快適な生活を取り戻しましょう。
オススメの記事はコチラ
👉膝痛に対する疾患別の鍼灸アプローチ|原因別に見る施術とセルフケアの提案
👉他職種連携と多職種連携の違いとは?鍼灸師が知っておくべき医療現場での連携の基本
👉鍼灸師の先輩が実践!経絡経穴を楽しく覚える8つの効果的な学習法