日本鍼灸大学 
1. 仮性近視とは？
仮性近視は、一時的に近視のように見える状態で、特に小児や若年層に多く見られます。ピント調節不良により、遠くのものがぼやけて見える状態ですが、眼球の形状自体に変化はありません。過度なスマートフォンやパソコンの使用、勉強のしすぎなどによって、眼の筋肉が緊張し、ピントを合わせる力が弱まることが原因です。仮性近視は、眼の筋肉が硬直している状態であり、放置すると本当の近視（軸性近視）に進行するリスクがあります。
鍼灸治療は、眼周辺の筋肉をリラックスさせ、ピント調節機能をサポートするために用いられます。鍼で特定のツボを刺激し、血流を改善することで、眼の疲労や緊張を和らげ、視力の回復を目指します。
2. 鍼灸が仮性近視に効果的な理由
仮性近視の原因は、長時間の眼の酷使による筋肉の緊張と血行不良が主です。鍼灸治療は以下のようなメカニズムで仮性近視の改善をサポートします。
- 眼周辺の血流促進
鍼灸で眼周りのツボを刺激すると、血行が良くなり、眼の筋肉に酸素や栄養が届きやすくなります。これにより、眼の筋肉が柔らかくなり、ピント調節機能が改善されやすくなります。 - 筋肉の緊張を和らげる
長時間のスマートフォンやパソコンの使用により、眼の筋肉が過度に緊張している状態です。鍼灸はこの緊張を解き、眼の疲労を軽減し、リラックスした状態に導きます。 - 自律神経の調整
鍼灸は自律神経のバランスを整える効果があり、特に交感神経の緊張が原因で眼精疲労が生じている場合に有効です。これにより、眼がリラックスし、視力回復が期待できます。 - ストレスの軽減
眼の緊張は、精神的なストレスとも関わっていることが多いため、鍼灸によりストレスが軽減されることで、眼の筋肉の緊張が和らぎ、仮性近視の改善に役立ちます。
3. 仮性近視に効く主要なツボ
仮性近視に対する鍼灸治療では、眼周辺の血行を促進し、ピント調節機能を回復するために特定のツボを刺激します。以下に、仮性近視の改善に効果的な主要なツボを紹介します。
- 晴明（せいめい）
目頭に位置するツボで、眼精疲労や視力低下に効果があります。眼の周りの血行を改善し、視界がクリアになりやすくなります。 - 攅竹（さんちく）
眉毛の内側の端にあるツボで、眼の疲れを和らげ、頭痛やピント調節力の低下にも効果的です。眼周囲の筋肉をリラックスさせ、眼の緊張を解消します。 - 太陽（たいよう）
こめかみにあるツボで、眼精疲労や頭痛の緩和に効果があります。眼の筋肉が疲れた際に効果的で、視力回復をサポートします。 - 風池（ふうち）
首の後ろに位置するツボで、肩や首の緊張をほぐし、眼の疲れを解消します。血行を促進し、眼の疲労が緩和されます。
4. 鍼灸と生活習慣の改善で相乗効果を得る
鍼灸治療に加え、日常生活での習慣改善を行うことで、仮性近視の改善がさらに効果的になります。以下の習慣を取り入れ、鍼灸治療と併せて実践しましょう。
- 適度な休憩を取る
1時間に1回、遠くを見つめる時間を設けましょう。遠くを見ることで、眼の筋肉がリラックスし、ピント調節機能が回復しやすくなります。 - 目を温める
蒸しタオルで眼を温めることで、血行が良くなり、眼の筋肉が柔らかくなります。特に、目の疲れを感じる夜には、目元を温めてリラックスする習慣を取り入れましょう。 - 適度な運動を行う
軽い運動やストレッチは血流を改善し、眼の疲労回復に役立ちます。運動により全身の循環が良くなり、眼の筋肉もリフレッシュしやすくなります。 - ブルーライトをカットする
スマートフォンやパソコンの使用時は、ブルーライトカット眼鏡を使用するか、設定を変更してブルーライトを減らす工夫をしましょう。これにより、眼への負担が軽減され、視力低下の予防につながります。
5. 自宅でできるセルフケア
鍼灸治療に加え、自宅でのセルフケアを行うことで、仮性近視の改善をサポートできます。
- ツボ押し
「晴明」や「攅竹」のツボを指で軽く押し、眼の疲労を緩和しましょう。指の腹で優しく押して離す動作を繰り返すことで、眼の緊張が解消され、視力回復に役立ちます。 - 目のエクササイズ
遠くと近くを交互に見るエクササイズを1日数回行うことで、ピント調節機能が向上します。スマホなどで目が疲れたと感じたときにもおすすめです。 - 深呼吸でリラックス
深呼吸を行うことで、緊張が緩和され、自律神経が整います。特に就寝前に深呼吸を行うと、眼の疲労が取れやすくなります。
まとめ
仮性近視は、眼の過度な使用による一時的なピント調節不良で、放置すると本格的な近視につながるリスクがあります。鍼灸治療は、眼の周りの筋肉をリラックスさせ、血行を促進することで、仮性近視の自然な回復をサポートします。また、生活習慣の改善やセルフケアを取り入れることで、鍼灸治療の効果がさらに高まり、視力改善に役立ちます。
症状が続く場合や改善が見られない場合は、眼科医や鍼灸師に相談し、適切な治療を進めることが重要です。
