鍼灸院のリピート率とは?継続来院につながる説明・通院提案・信頼関係の作り方

新規集客だけでは鍼灸院経営は安定しにくい

鍼灸院の集客を考えるとき、多くの先生がまず意識するのは新規患者さんを増やすことです。

ホームページを作る。
SEO記事を書く。
Googleマップを整える。
SNSを更新する。
広告を出す。
チラシを配る。
口コミを増やす。

これらは、鍼灸院を知ってもらい、初回来院につなげるために大切な取り組みです。

しかし、鍼灸院経営を安定させるうえでは、新規患者さんを増やすことだけでは不十分です。

なぜなら、毎月たくさんの新規患者さんが来ても、ほとんどが一度きりで終わってしまえば、常に新しい患者さんを集め続けなければならないからです。

反対に、新規患者さんの数が多くなくても、一度来院した患者さんが納得して継続してくれれば、院の経営は安定しやすくなります。

そこで重要になるのが、今回解説する リピート率 です。

リピート率は、単なる経営指標ではありません。

患者さんが、
「もう一度この先生に相談したい」
「続けて通う意味がわかった」
「自分の身体を任せてもよい」
と感じているかを表す重要なサインでもあります。

マーケティング用語解説:リピート率とは?

リピート率とは、一度利用した顧客が、再び利用した割合を示す指標です。

鍼灸院に置き換えると、
初回来院した患者さんのうち、2回目以降も来院した人の割合
と考えるとわかりやすいです。

たとえば、ある月に新規患者さんが20人来院し、そのうち12人が2回目も来院した場合、リピート率は60%です。

計算式は次のようになります。

リピート率 = 2回目以降に来院した患者さんの数 ÷ 新規患者さんの数 × 100

たとえば、

12人 ÷ 20人 × 100 = 60%

となります。

ただし、鍼灸院ではリピート率を一つの数字だけで見るよりも、いくつかに分けて考えると実態が見えやすくなります。

初回から2回目へのリピート率。
2回目から3回目へのリピート率。
一定期間の継続率。
メンテナンス通院への移行率。
一度離れた患者さんの再来院率。

特に重要なのは、初回から2回目へのリピート率 です。

初回来院後に2回目がない場合、患者さんは何らかの理由で継続しない判断をした可能性があります。

鍼灸院にリピート率が重要な理由

鍼灸院にリピート率が重要な理由は、大きく3つあります。

1. 施術の価値が伝わっているかがわかる

患者さんが2回目も来院するということは、初回の体験を通じて、

「続けて相談してみよう」
「もう少し身体の変化を見てみたい」
「この先生なら安心できる」

と感じた可能性があります。

一方で、2回目につながらない場合は、

説明が不足していた。
通院の必要性が伝わっていなかった。
期待と実際の施術にズレがあった。
料金や頻度に納得できなかった。
院内体験に不安があった。

といった課題があるかもしれません。

リピート率は、患者さんに施術の価値が伝わっているかを確認する指標になります。

2. 経営の安定につながる

新規集客だけに頼る経営は、常に不安定になりやすいです。

広告費をかけ続ける必要がある。
毎月の新規数に売上が左右される。
予約枠が安定しない。
集客施策に追われる。

という状態になりやすいからです。

一方で、継続して通う患者さんが一定数いれば、売上や予約状況が安定しやすくなります。

鍼灸院は、単発の来院だけで成り立つビジネスではなく、患者さんとの継続的な関係によって支えられる側面があります。

3. 紹介や口コミにつながりやすくなる

一度だけ来院した患者さんよりも、継続して通っている患者さんの方が、院への理解や信頼が深まります。

その結果、

家族や知人に紹介する。
Google口コミを書く。
SNSで共有する。
再び不調が出たときに相談する。

といった行動につながりやすくなります。

リピート率は、将来的な口コミや紹介にも関係する重要な指標です。

リピート率は「通わせる技術」ではない

リピート率を高めるというと、

「どうすれば患者さんを何度も通わせられるか」

と考えてしまうことがあります。

しかし、鍼灸院におけるリピート率向上は、患者さんを無理に囲い込むことではありません。

大切なのは、患者さんが自分の身体の状態を理解し、継続する意味に納得できることです。

たとえば、

「週に1回来てください」

とだけ言われると、患者さんは理由がわかりません。

しかし、

「今は首肩の緊張が強く、頭痛も週に数回出ている状態です。まずは2週間で状態の変化を確認し、その後は頭痛の頻度や仕事中のつらさを見ながら間隔を調整しましょう」

と説明されると、通院の目的が見えます。

リピート率を高めるとは、通院を売ることではありません。

患者さんが納得して継続を選べる状態を作ることです。

初回でリピートが決まる理由

鍼灸院では、初回来院時の体験がリピートに大きく影響します。

患者さんは初回の時点で、施術の効果だけでなく、院全体を評価しています。

先生は話を聞いてくれるか。
説明はわかりやすいか。
鍼の刺激は不安ではないか。
料金は明確か。
通院目安に納得できるか。
院内は清潔か。
予約は取りやすいか。
無理に通わせようとしていないか。

これらの印象が積み重なり、
「次も来よう」
と思うかどうかが決まります。

つまり、リピート率を高めるためには、初回から2回目への導線を丁寧に設計する必要があります。

リピートにつながる初回対応の流れ

鍼灸院でリピートにつなげるためには、初回の流れが重要です。

ここでは、基本的な流れを整理します。

1. 来院前の不安を減らす

リピート率は、来院前から影響を受けています。

予約時の案内がわかりにくかったり、アクセスが不明確だったりすると、初回来院の時点で不安が高まります。

来院前には、

予約日時。
住所とアクセス。
入口の写真。
服装。
持ち物。
初回の所要時間。
料金。
支払い方法。
キャンセル方法。

をわかりやすく伝えましょう。

来院前の不安が少ないほど、初回の体験も良くなりやすくなります。

2. 問診で患者さんの目的を確認する

問診では、症状の場所や強さだけでなく、患者さんが何を望んでいるのかを確認します。

「この症状が少し楽になったら、何をしたいですか」

「日常生活で一番困っていることは何ですか」

「今回、どのような状態を目指したいですか」

こうした質問を通じて、患者さんのニーズを把握します。

リピートにつながる施術提案は、患者さんの目的と結びついている必要があります。

肩こりを軽くしたいのか。
仕事に集中できるようになりたいのか。
旅行までに腰を整えたいのか。
大会に間に合わせたいのか。
育児を少し楽にしたいのか。

目的が明確になると、通院計画も説明しやすくなります。

3. 現在の状態をわかりやすく説明する

患者さんは、自分の身体に何が起きているのかを知りたいと思っています。

専門用語だけで説明するのではなく、生活と結びつけて伝えましょう。

たとえば、

「首肩がかなり張っています」

だけではなく、

「長時間のデスクワークで首や背中の緊張が続きやすくなっている状態です。呼吸も浅くなりやすいため、夕方の重だるさや頭痛につながっている可能性があります」

と説明すると、患者さんは自分の生活と結びつけて理解できます。

身体の状態を理解できると、施術や通院の必要性にも納得しやすくなります。

4. 施術の目的を伝える

施術前には、何を目的に施術するのかを説明します。

「今日は肩に鍼をします」

だけではなく、

「今日は首肩のこわばりだけでなく、背中や呼吸の浅さにも関係する部分を見ながら、仕事中の重だるさが少しでも軽くなるように整えていきます」

というように伝えます。

患者さんは、何をされるかだけでなく、何のために行うのかを知ることで安心します。

5. 施術後に変化を一緒に確認する

施術後には、患者さん自身が変化を確認できる時間を作ります。

痛みの強さ。
動きやすさ。
呼吸のしやすさ。
身体の軽さ。
姿勢の感覚。
緊張感。
可動域。

などを施術前後で比べます。

ただし、変化を無理に感じさせようとしてはいけません。

「少しでも変化がありましたか」

と聞くだけでなく、

「今日はこの部分の緊張を中心に見ました。すぐに大きく変化が出る場合もありますが、数日かけて変化を感じる方もいます」

と説明すると、患者さんは安心しやすくなります。

6. 今後の見通しを伝える

リピートにつながるかどうかは、施術後の説明に大きく左右されます。

患者さんは、

「次も来た方がいいのか」
「何回くらい通う必要があるのか」
「どのくらいの間隔がよいのか」
「いつまで通うのか」

を知りたいと思っています。

ここで曖昧なまま終わると、患者さんは継続する理由がわからなくなります。

たとえば、

「今の状態ですと、最初は週1回程度で変化を見ていき、頭痛の頻度や仕事中のつらさが落ち着いてきたら間隔を空けていく形が考えられます」

というように、目安を伝えます。

重要なのは、患者さんの状態に合わせて説明することです。

すべての患者さんに同じ回数や頻度を提案すると、売り込みに感じられることがあります。

7. 次回予約の意味を伝える

次回予約は、単に予約枠を埋めるためのものではありません。

患者さんの身体の変化を確認するための機会です。

たとえば、

「次回は、今日の施術後に頭痛の頻度がどう変わったか、夕方の肩の重さがどうだったかを確認しましょう」

と伝えると、次回の目的が明確になります。

患者さんにとっても、

「次に何を見てもらうのか」

がわかるため、継続しやすくなります。

リピート率が下がる原因

リピート率が低い場合、いくつかの原因が考えられます。

1. 初回で期待値がズレている

ホームページや広告で期待していた内容と、実際の施術体験が違うと、患者さんは継続しにくくなります。

たとえば、ホームページでは「丁寧な問診」と書いているのに、実際には問診が短かった場合、期待とのズレが生まれます。

2. 通院の必要性が伝わっていない

患者さんは、1回で完全に良くなると思っている場合があります。

その期待に対して、身体の状態や施術の進め方を説明していないと、2回目につながりにくくなります。

3. 料金や頻度への不安が残っている

料金がわかりにくい。
毎回いくらかかるかわからない。
どのくらいの頻度で通うのかわからない。

この状態では、患者さんは継続を不安に感じます。

4. 効果を感じられなかった

初回で大きな変化が出ないこともあります。

その場合でも、何を目的に施術し、今後どのように変化を見ていくかを説明していれば、継続につながることがあります。

反対に、何の説明もないと、

「自分には合わなかった」

と判断されやすくなります。

5. 予約導線が弱い

施術後に次回予約の案内がない。
LINE予約の方法がわからない。
空き状況が確認しにくい。
予約変更が面倒。

こうした小さな不便も、リピートを妨げる要因になります。

リピート率を高めるための具体策

ここでは、鍼灸院で実践しやすい具体策を紹介します。

1. 初回用の説明資料を用意する

初回は、患者さんも緊張しているため、口頭説明だけでは内容を覚えきれないことがあります。

そこで、

施術の流れ。
よくある反応。
通院間隔の考え方。
セルフケア。
次回までに見てほしい変化。

を簡単にまとめた資料を渡すと、理解が深まりやすくなります。

2. 患者さんの目標を記録する

問診時に、

「何をできるようになりたいか」
「どんな状態を目指したいか」

を記録しておきます。

次回来院時に、

「前回お話しされていた、夕方の頭痛はどうでしたか」

と確認すれば、患者さんは自分のことを覚えてもらえていると感じます。

これは信頼関係にもつながります。

3. 施術前後の変化を言語化する

患者さん自身が変化に気づいていない場合もあります。

施術前後で、

首の動き。
腰の動き。
呼吸。
姿勢。
痛みの強さ。
身体の軽さ。

などを確認することで、変化を共有できます。

ただし、無理に良くなったと言わせるのではなく、患者さんの感覚を大切にしましょう。

4. 次回までの観察ポイントを伝える

施術後には、

「次回までに、朝の腰の感じを見ておいてください」

「夕方の肩の重さや頭痛の頻度を確認してみてください」

「眠りの深さや朝の疲労感を見ておきましょう」

と伝えると、次回の来院に意味が生まれます。

患者さんは、自分の身体の変化に意識を向けやすくなります。

5. LINEやメールでフォローする

必要に応じて、施術後の注意点やセルフケアをLINEやメールで送ることも有効です。

ただし、頻繁すぎる連絡や過度な営業は避けます。

「本日はご来院ありがとうございました。施術後はだるさを感じることがありますので、本日は無理をせずお過ごしください。次回は、夕方の肩の重さや頭痛の頻度を確認していきます」

このような短いフォローでも、安心感につながります。

6. メンテナンス通院の意味を伝える

症状が落ち着いた後に、定期的なメンテナンスを希望する患者さんもいます。

ただし、メンテナンス通院は、必要性を押しつけるものではありません。

「症状が落ち着いてきたら、今後はつらくなる前のケアとして月1回程度で様子を見る方もいます。生活やお仕事の状況に合わせて相談しながら決めていきましょう」

というように、選択肢として伝えると自然です。

リピート率と患者満足度の関係

リピート率が高いからといって、必ずしも患者満足度が高いとは限りません。

通院の必要性が不明確なまま、何となく通い続けている場合もあるかもしれません。

反対に、1回で終了しても、患者さんが十分に満足しているケースもあります。

たとえば、急な不調が軽くなり、その後はセルフケアで問題なく過ごせている場合です。

そのため、リピート率だけを絶対視するのではなく、

患者さんが納得して通院しているか。
身体の状態を理解できているか。
必要なときにまた相談できる関係があるか。
無理な通院になっていないか。

を確認することが大切です。

リピート率は大切な指標ですが、目的は数字を上げることではありません。

患者さんとの良い関係を継続することです。

リピート率をSEOやMEOとつなげて考える

リピート率は、院内対応だけで決まるわけではありません。

SEOやMEOで来院前にどんな情報を見ていたかも関係します。

たとえば、ホームページで、

施術方針。
通院の考え方。
初回の流れ。
料金。
よくある質問。

を事前に読んでいる患者さんは、初回来院時の理解が早くなります。

Google口コミで、

「説明がわかりやすかった」
「無理な勧誘がなかった」

という声を読んで来院した人は、安心して相談しやすくなります。

つまり、リピート率を高めるには、来院前の情報設計も重要です。

ホームページやGoogleマップで期待値を適切に整え、初回来院時の体験と一致させることが大切です。

リピート率を測定するときの注意点

リピート率を測定する場合は、何をリピートとするかを明確にしましょう。

初回から2回目に来たらリピートとするのか。
3回目まで来たら継続とするのか。
3ヶ月以内の再来院をリピートとするのか。
症状改善後のメンテナンスも含めるのか。

院によって定義が違うと、数字の比較ができません。

まずはシンプルに、

「新規患者さんのうち、2回目も来院した割合」

から見るとよいでしょう。

さらに余裕があれば、

2回目移行率。
3回目移行率。
症状別の継続率。
流入経路別のリピート率。
担当者別のリピート率。
離脱理由。

なども確認します。

数字を見ることで、どの段階で患者さんが離れているのかがわかります。

リピート率改善でよくある失敗

失敗例1:回数券販売に頼りすぎる

回数券は、患者さんにとってメリットがある場合もあります。

しかし、納得感がないまま販売すると、不信感につながることがあります。

まずは状態説明と通院計画が先です。

失敗例2:毎回同じ説明をする

患者さんの状態は変化します。

毎回同じ説明や同じ施術提案では、患者さんは自分の変化を見てもらえていると感じにくくなります。

失敗例3:変化を確認しない

施術後に変化を確認しないと、患者さんは自分が良くなっているのか判断しにくくなります。

小さな変化でも共有することが大切です。

失敗例4:次回の目的が不明確

「また来てください」

だけでは、患者さんは次回の必要性を理解しにくいです。

次回は何を確認するのか、どの状態を目指すのかを伝えましょう。

失敗例5:患者さんの目標を聞いていない

院側が考える改善目標と、患者さんが望む生活上の目標がズレていると、継続への納得感が下がります。

必ず患者さんの目的を確認しましょう。

今日からできる実践ポイント

まずは、直近1ヶ月の新規患者さんを振り返ってみましょう。

新規患者さんは何人いたか。
そのうち2回目に来院した人は何人か。
2回目に来なかった人はどのような患者さんか。
どの症状の患者さんが継続しやすいか。
どの流入経路の患者さんが継続しやすいか。
初回時に通院目安を説明できていたか。
次回予約の目的を伝えられていたか。

次に、初回施術後に必ず伝える内容を整理します。

今日の状態。
今日の施術の目的。
施術後の変化。
次回までの観察ポイント。
次回の来院目安。
今後の見通し。

これらを毎回その場で考えるのではなく、基本の説明フォーマットを作っておくと、患者さんへの説明が安定します。

まとめ

リピート率とは、一度来院した患者さんが再び来院する割合のことです。

鍼灸院では、新規患者さんを増やすことも大切ですが、初回来院後に継続してもらえるかどうかが経営の安定に大きく関わります。

ただし、リピート率を高めることは、患者さんを無理に通わせることではありません。

大切なのは、患者さんが自分の身体の状態を理解し、施術の目的や通院の必要性に納得できることです。

そのためには、

来院前の不安を減らす。
問診で患者さんの目的を確認する。
現在の状態をわかりやすく説明する。
施術の目的を伝える。
施術後の変化を一緒に確認する。
今後の見通しを伝える。
次回予約の意味を明確にする。

といった流れが重要です。

リピート率は、単なる数字ではありません。

患者さんが、
「また相談したい」
「続ける意味がわかった」
「この先生なら安心できる」
と感じているかを示す指標でもあります。

マーケティングは、新規集客だけではありません。

一度出会った患者さんと信頼関係を育て、必要なときに継続して相談してもらえる関係を作ることも、鍼灸院にとって大切なマーケティングです。

次回は、一人の患者さんと長期的にどのような関係を築くかを考える
「LTV」
について解説します。


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