仙腸関節炎は、背骨の下部と骨盤をつなぐ仙腸関節に炎症が起き、腰やお尻などが痛む状態です。ただし、そのあたりが痛いというだけで仙腸関節炎とは判断できません。ほかの腰痛と症状が似るため、医療機関で原因を評価することが大切です。
鍼灸を考える場合も、炎症の原因に応じた診察や治療を先に確認します。鍼灸で仙腸関節の炎症が治る、特定のツボで原因が解消する、と期待して必要な受診を遅らせないでください。
仙腸関節はどこにある?
仙腸関節は、背骨の下部にある仙骨と、骨盤の腸骨をつなぐ左右の関節です。立ったときに上半身の重さを支える役割があります。
仙腸関節の周辺の痛みには、炎症を伴うものと、関節や周囲の組織への負担などが関わるものがあります。痛みの場所だけで、炎症の有無や原因を決めつけないことが重要です。
腰・お尻の痛みと、考えられる原因
仙腸関節炎では、腰やお尻の痛み・こわばりがみられ、太ももなどへ痛みが広がることがあります。長く座る・立つ、階段を上るなどでつらくなる場合もありますが、これらは仙腸関節炎だけに特有の症状ではありません。
炎症性の関節の病気、外傷、妊娠・出産に伴う変化、まれには感染などが関わります。腰椎や股関節など別の部位の問題と見分ける必要もあるため、「骨盤のゆがみ」だけで説明しないようにしましょう。
救急受診を優先する症状
腰痛に次のような新たな変化を伴う場合は、通常の施術予約を待たず、速やかに救急外来へ相談・受診してください。強い症状で移動が難しい場合や、意識・呼吸の異常がある場合は119番へ連絡します。
- 尿が出にくい、尿や便をもらすなどの排尿・排便の異常
- 股の間や肛門周囲の感覚が鈍くなる
- 両脚のしびれや脱力、急に悪化する脚の力の入りにくさ
- 大きな事故や転落の後に始まった痛み
発熱を伴う、突然の強い痛み、急速な悪化がある場合は、速やかに医療機関へ連絡し、緊急の診察について相談してください。長く続く痛みや、睡眠・日常生活を妨げる痛みも診察で相談しましょう。
診察と検査で、原因に合う治療を考える
診察では、痛みの経過、きっかけ、ほかの症状、動作や関節の状態などを確認します。必要に応じてX線やMRIなどの検査を検討しますが、すべての人に同じ検査を行うわけではありません。
治療には薬や理学療法などが用いられ、炎症性の病気が背景にある場合はその治療が重要です。医師や理学療法士と、痛みの程度に合わせた運動や日常動作の調整を相談します。
鍼灸の研究を仙腸関節炎へそのまま当てはめない
鍼灸は慢性の腰痛について研究されています。ただし、一般的な腰痛で痛みが軽くなったという結果と、仙腸関節の炎症や、その原因の病気を治療できたという結果は同じではありません。
原因の評価を受けたうえで鍼灸を希望する場合は、診断、検査結果、薬、症状の変化を施術者へ伝え、何を目的に行うのかを確認します。背景の病気への治療を自己判断で中止しないでください。研究の考え方は、鍼灸の基礎知識と研究の考え方で確認できます。
セルフケアは、状態に合わせて調整する
痛みが増す動作を一時的に減らし、無理のない活動や休息について相談します。すべての腰痛に同じストレッチや筋トレを行わず、強い痛みを押して続けないでください。
温める・冷やす方法も体調や痛みの状態に合わせます。自己判断で強い加熱やお灸を続けたり、自分で鍼を刺したりせず、医療機関や施術者に確認しましょう。






