圧迫骨折とは?
圧迫骨折は、脊椎の骨がつぶれるように変形し、痛みや機能障害を引き起こす状態を指します。特に高齢者に多く、骨密度の低下(骨粗鬆症)が主な原因となります。転倒や軽微な外力で発生することが多いですが、日常的な姿勢や動作でも生じる場合があります。
圧迫骨折が起こると、腰や背中に急激な痛みが生じ、動作が制限されるため、日常生活への影響が大きくなります。
圧迫骨折の症状
圧迫骨折の主な症状には以下が挙げられます:
- 急激な腰や背中の痛み:特に立ち上がる、座る、姿勢を変えるといった動作で痛みが増します。
- 動作の制限:背中や腰を動かすことが困難になり、日常動作が制約されます。
- 背骨の変形:長期的には背骨が圧迫され、後弯(猫背)が進行することもあります。
- 筋肉の緊張とこわばり:痛みをかばうことで周辺の筋肉が硬直しやすくなります。
圧迫骨折の原因
圧迫骨折の原因は以下の通りです:
- 骨密度の低下(骨粗鬆症):骨が脆くなることで軽微な力でも骨折が起きやすくなります。
- 転倒や軽微な外傷:日常生活での転倒や体勢の崩れが引き金となります。
- 姿勢の悪化:長期間の姿勢不良や腰への負担が蓄積すると発症リスクが高まります。
- 老化による骨・筋力の低下:加齢により骨や筋肉が弱くなることで圧迫骨折のリスクが増加します。
圧迫骨折に対する鍼灸アプローチ
圧迫骨折の鍼灸治療では、痛みの緩和や筋肉の緊張をほぐし、自然治癒力を高めることを目指します。以下は、効果的なツボや施術方法です。
1. 主要なツボ
- 腎兪(じんゆ)
- 位置:第2腰椎の左右1.5寸の位置にあり、腰痛全般に用いられるツボです。
- 効果:腎兪を刺激することで腰部の血行が促進され、筋肉の緊張を和らげます。
- 命門(めいもん)
- 位置:第2腰椎の棘突起の下部。腰椎全体の健康を支える重要なツボです。
- 効果:命門は、血行促進とともに腰部の柔軟性を高め、圧迫骨折後の回復をサポートします。
- 大腸兪(だいちょうゆ)
- 位置:第4腰椎棘突起の左右1.5寸の位置。
- 効果:腰部の痛みや炎症を緩和し、周辺組織の硬直をほぐします。
2. 鍼灸施術のポイント
- 優しい刺激を心がける
圧迫骨折の場合、過剰な刺激は症状を悪化させる可能性があるため、穏やかな刺激で筋肉をリラックスさせることが重要です。 - 温灸を併用する
温灸を用いて腰部を温めることで血流を促進し、筋肉の緊張を効果的に緩和します。特に腎兪や命門への温灸が有効です。 - 骨折周辺の緊張を軽減するツボ選定
骨折部位に直接刺激を与えないよう注意しながら、周辺の筋肉や神経に関連するツボを選定して施術します。
圧迫骨折の予防とセルフケア
圧迫骨折は再発しやすいため、鍼灸治療と併せて以下のセルフケアが重要です:
1. 日常的な筋力トレーニング
腹筋や背筋を鍛えることで、骨や筋肉を強化し、腰椎を安定させます。軽い体操やストレッチを継続することが効果的です。
2. 正しい姿勢の維持
デスクワークや長時間の座位では背筋を伸ばし、腰に負担をかけないような姿勢を意識します。
3. 骨密度を高める生活習慣
カルシウムやビタミンDを含む栄養を積極的に摂取し、骨の強度を保つことが重要です。日光浴や軽い運動も取り入れましょう。
4. 体を温める
腰を冷やさないように心がけ、日常的に入浴や温湿布で体を温める習慣をつけます。
まとめ
圧迫骨折は、腰部に突然の痛みを引き起こし、日常生活に支障をきたす疾患です。鍼灸は「腎兪」「命門」「大腸兪」といったツボを中心に施術することで、血行促進や筋肉の緊張緩和を図り、自然治癒力を高めます。また、再発予防には筋力トレーニングや姿勢改善、生活習慣の見直しが必要です。
圧迫骨折の鍼灸治療とセルフケアを組み合わせることで、症状の緩和と予防を同時に進めることができます。患者一人ひとりに合った施術と生活改善をサポートし、回復を促していきましょう。
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