はじめに:不妊治療の検査とは?
不妊治療を始める際、最も重要なステップの一つが不妊検査です。妊娠が難しい原因は多岐にわたるため、検査を通じて体の状態を詳しく調べることで、適切な治療方針が立てられます。不妊検査は女性と男性の両方が対象で、ホルモン値の測定、内診、精液検査など、さまざまな角度から不妊の要因を明らかにします。この記事では、不妊治療において一般的に行われる検査内容とその見方を詳しく解説します。
1. 不妊治療の検査が必要なタイミング
不妊治療の検査を受けるタイミングは、年齢や妊活の期間、体調によって異なります。一般的には、35歳以上の女性は妊活を始めて6か月間妊娠しない場合、34歳以下では1年間妊娠しない場合に検査を受けるのが目安です。また、月経不順や婦人科系疾患、過去の流産歴がある場合、男性では精子の運動率や数に不安がある場合は、早めに検査を受けることで妊娠の可能性が高まります。
- 年齢に応じた検査開始: 35歳以上は6か月、34歳以下では1年間妊娠しない場合が目安。
- リスク要因の有無: 月経不順、婦人科系疾患、性感染症の既往歴がある場合は早期検査が推奨されます。
2. 女性の不妊検査の内容
女性の不妊検査は、月経周期やホルモンバランス、卵管や子宮の状態など、多角的な検査を行います。月経周期の異常やホルモン値の変動が妊娠を妨げることが多いため、基礎体温の測定、超音波検査、ホルモン検査、卵管造影検査などが行われます。これらの検査は排卵の有無や卵管の通過性、子宮の状態を評価するため、正確な診断につながります。
2-1. 基礎体温測定
- 目的: 排卵の有無を確認。
- 結果の見方: 正常な排卵がある場合、低温期と高温期が明確に分かれます。一方、体温が一定のままの場合は排卵障害の可能性があります。
2-2. ホルモン検査
- 目的: 卵巣機能と排卵の評価。
- 主なホルモンとその基準:
- FSH(卵胞刺激ホルモン): 卵巣の機能を反映し、高値は卵巣機能の低下を示します。
- LH(黄体形成ホルモン): 排卵の誘発を促す。
- エストラジオール(E2): 子宮内膜の発育をサポート。
- プロラクチン: 分泌過多は排卵障害を引き起こす場合があります。
2-3. 子宮卵管造影検査(HSG)
- 目的: 卵管閉塞や子宮の形態異常の確認。
- 結果の見方: 卵管が閉塞している場合、精子と卵子が出会えないため治療が必要です。
2-4. 超音波検査
- 目的: 卵巣や子宮の形態異常を評価。
- 結果の見方: 卵巣嚢腫や子宮筋腫、ポリープなどが見つかる場合があります。
3. 男性の不妊検査の内容
男性の不妊検査では、精子の数や運動率、形態などの評価が中心です。精子の異常は不妊の主な原因の一つであり、早期に診断し適切な治療を行うことで妊娠の可能性が大きく高まります。
3-1. 精液検査
- 目的: 精子の数、運動率、形態の評価。
- 基準値:
- 精液量: 1.5ml以上
- 精子濃度: 1500万/ml以上
- 運動率: 40%以上が正常運動
- 正常形態率: 4%以上
3-2. 血液検査(ホルモン検査)
- 目的: 精巣機能とホルモンバランスの評価。
- 主なホルモン:
- テストステロン: 精子生成を促進。
- FSH: 精子形成の指標。
- LH: 精巣刺激ホルモン。
3-3. 超音波検査
- 目的: 睾丸や精管の異常確認。
- 結果の見方: 精索静脈瘤や精巣の形態異常が見つかる場合は治療が必要です。
4. 検査結果の見方と対処法
- 正常範囲内: 問題がなければ他の要因を探ります。
- 異常の発見: 検査結果に応じた治療(排卵誘発剤、人工授精、体外受精など)を進めます。
- 再検査の必要性: 精液検査やホルモン検査は一定期間を空けて再検査する場合があります。
まとめ:不妊治療の第一歩は検査から
不妊治療の成功は、適切な検査を受けることから始まります。不妊の原因はさまざまで、女性だけでなく男性側の要因も重要です。早期に検査を受けることで、妊娠の可能性を阻む要因を特定し、最適な治療計画を立てることができます。
女性ではホルモンバランスや卵巣機能の評価、卵管や子宮の形態確認が必要です。一方、男性では精子の数や運動率、形態の評価が不可欠です。検査結果に基づいて適切な治療法を選択すれば、妊娠の可能性は大きく広がります。
不妊治療は身体的・精神的な負担が伴うため、夫婦で協力し、医師と十分に相談することが重要です。生活習慣の見直しや健康管理もサポート的な役割を果たします。不安がある場合は、早めに専門医に相談し、必要な検査を受けることで、将来の選択肢を広げることができます。適切なステップを踏むことで、妊娠への道が開かれる可能性が高まります。
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