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鍼灸小話
鍼灸師のための解剖学入門③:肩甲骨の骨学と肩周囲のツボ
はじめに 肩甲骨は、鍼灸臨床において最も触れる機会の多い骨のひとつです。肩こり、肩関節周囲炎(五十肩)、頸肩腕症候群など、現代の臨床現場でよく訴えられる症状の多くに関わっており、その評価・施術に欠かせません。肩甲骨は胸郭 […] -
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鍼灸師のための解剖学入門②:頸椎・胸椎の触診ポイントと関連ツボ
はじめに:頸椎・胸椎はツボの“縦軸” 鍼灸師にとって背骨は、取穴の「縦のものさし」として欠かせない存在です。とりわけ頸椎から胸椎にかけては、督脈や膀胱経の多くの経穴が並び、臨床で頻繁に使われます。しかし、学生の段階では「 […] -
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鍼灸師のための解剖学入門①:頭蓋骨のランドマークとツボ取穴の基準
はじめに:なぜ頭蓋骨を学ぶのか 鍼灸師にとって「骨」はツボを探すための座標軸です。特に頭部は経穴が集中しており、百会・攅竹・太陽など臨床で頻用されるツボの多くが頭蓋骨の骨学的ランドマークを基準に取穴されています。骨の位置 […] -
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鍼灸と腸脳相関の科学|迷走神経と消化・情動の生理学的つながり
はじめに:腸は「第二の脳」であり、免疫・情動の制御センター 腸管は、神経・内分泌・免疫系が高度に集積した“感覚—応答統合臓器”であり、「第二の脳(Second Brain)」と呼ばれるゆえんです。この腸と脳の双方向性ネッ […] -
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オキシトシンと鍼灸|絆ホルモンがもたらす鎮痛と情動安定
はじめに:オキシトシンは心と体をつなぐホルモン オキシトシン(Oxytocin)は、「愛情ホルモン」「絆ホルモン」などと呼ばれる神経ペプチドです。出産や授乳だけでなく、対人関係の安心感・ストレス緩和・痛みの抑制など、心身 […] -
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セロトニンと鍼灸|気分・痛み・自律神経をつなぐ鍵
はじめに:セロトニンは“幸福物質”だけではない 「セロトニン=幸せホルモン」として知られますが、その役割は気分調整にとどまりません。痛みの制御、睡眠の質、自律神経バランス、腸機能などにも深く関与する、極めて多機能な神経伝 […] -
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疼痛記憶と鍼灸|痛みの脳内固定化にどう介入するか
はじめに:痛みは「記憶される」ことがある 「もう治っているはずなのに、なぜ痛みが続くのか?」この疑問に答える鍵は、“疼痛記憶(pain memory)”という神経メカニズムにあります。 疼痛記憶とは、痛みの刺激が何度も繰 […] -
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グリア細胞と鍼灸|痛みと神経炎症を制御する鍵
はじめに:もうひとつの「神経」の主役 脳や脊髄の機能といえば「ニューロン(神経細胞)」を思い浮かべがちですが、実は中枢神経系の約半分はグリア細胞(神経膠細胞)が占めています。 このグリア細胞は、単なる「神経のサポーター」 […] -
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神経可塑性と鍼灸|慢性痛における中枢適応への介入
はじめに:なぜ「痛みが消えない」のか? ケガや炎症が治ったのに、痛みがずっと残る。レントゲンやMRIでは異常が見つからない――こうした症状の背景には、中枢神経の過敏化=中枢感作(central sensitization […] -
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炎症性サイトカインと鍼灸|慢性炎症に対する免疫調整作用
はじめに:痛み・倦怠感の背景に「炎症」がある 慢性のだるさ、関節のこわばり、治らない肌荒れ――こうした不定愁訴の陰にあるのが、低レベルの持続的炎症(サイレントインフラメーション)です。 この慢性炎症は、炎症性サイトカイン […]