鍼灸院のマーケティングは「なんとなく頑張る」だけでは改善しにくい
鍼灸院の集客や経営を良くするために、多くの先生がさまざまな取り組みを行っています。
ホームページを作る。
SEO記事を書く。
Googleマップを整える。
InstagramやXを更新する。
口コミをお願いする。
チラシを配る。
広告を出す。
LINE予約を導入する。
初回対応を見直す。
リピート率を上げる。
どれも大切な取り組みです。
しかし、実際には、
「SNSを頑張っているけれど、予約につながっているかわからない」
「ホームページは見られているはずなのに、新規予約が増えない」
「Googleマップの口コミは増えたけれど、成果が出ているのか判断できない」
「広告を出しているが、費用対効果が良いのかわからない」
という悩みも起こりやすいです。
マーケティング施策は、やること自体が目的になってしまうと、改善の方向が見えにくくなります。
そこで重要になるのが、今回解説する KPI です。
KPIを設定すると、鍼灸院のマーケティングを感覚だけで判断するのではなく、数字をもとに見直せるようになります。
連載最終回となる今回は、これまで解説してきたターゲット、SEO、MEO、口コミ、リピート率、LTV、CVR、CPAなどを、どのように数字で管理し、改善につなげるかを整理します。
マーケティング用語解説:KPIとは?
KPIとは、Key Performance Indicator の略です。
日本語では、
重要業績評価指標
と呼ばれます。
少し難しく聞こえますが、簡単に言えば、
目標に向かって順調に進んでいるかを確認するための数字
です。
たとえば、鍼灸院の目標が、
「月の新規予約を増やしたい」
だとします。
この場合、新規予約数だけを見ても、どこを改善すればよいかはわかりません。
そこで、
ホームページのアクセス数。
Googleマップの表示回数。
LINE登録数。
問い合わせ数。
予約数。
予約フォームの完了率。
初回から2回目へのリピート率。
口コミ数。
などを確認します。
これらがKPIです。
KPIを見ることで、
そもそも見られていないのか。
見られているが問い合わせが少ないのか。
問い合わせはあるが予約に至っていないのか。
初回予約はあるがリピートしていないのか。
口コミや紹介につながっていないのか。
を分解して考えられます。
KPIとKGIの違い
KPIと一緒によく使われる言葉に、KGI があります。
KGIとは、Key Goal Indicator の略です。
日本語では、
重要目標達成指標
と呼ばれます。
簡単に言えば、KGIは最終目標です。
一方、KPIはその目標に向かう途中で見る数字です。
鍼灸院で考えると、次のようになります。
KGI:月の売上を100万円にする
KPI:新規予約数、リピート率、平均単価、来院回数、口コミ数
KGI:月の新規患者さんを20人にする
KPI:ホームページアクセス数、Googleマップ表示回数、LINE登録数、問い合わせ数、CVR
KGI:初回から2回目へのリピート率を70%にする
KPI:初回説明の実施率、次回予約率、初回後フォロー率、2回目来院数
つまり、
KGI=最終的に達成したい結果
KPI=その結果に近づくために見る途中の数字
です。
KGIだけを見ていると、結果が良いか悪いかしかわかりません。
KPIを見ることで、改善すべき場所が見えてきます。
なぜ鍼灸院にKPIが必要なのか
鍼灸院にKPIが必要な理由は、大きく3つあります。
1. 改善すべき場所がわかる
たとえば、新規予約が少ないとします。
このとき、原因はさまざまです。
ホームページが見られていない。
Googleマップで表示されていない。
アクセスはあるが予約ボタンが押されていない。
LINE登録はあるが予約に進んでいない。
料金ページで離脱している。
口コミが少なく不安を解消できていない。
KPIを見れば、どこで患者さんが止まっているのかを確認できます。
2. 施策の成果を判断できる
SNS投稿、SEO記事、Googleマップ投稿、広告、チラシなどは、続けるべきか改善すべきかを判断する必要があります。
KPIがないと、
「なんとなく良さそう」
「頑張っている気がする」
「あまり効果がない気がする」
という感覚になりがちです。
数字を見ることで、
Instagramから何人がホームページへ移動したか。
SEO記事から何件問い合わせがあったか。
Googleマップから何件電話があったか。
広告費に対して何件予約が入ったか。
を確認できます。
3. スタッフや外部業者と共通認識を持てる
複数人で院を運営している場合や、ホームページ制作、SEO、広告運用、SNS運用を外部に依頼している場合、KPIは共通言語になります。
「もっと集客を頑張りましょう」
だけでは曖昧です。
しかし、
「Googleマップの表示回数を月3,000回にする」
「ホームページからのLINE登録を月30件にする」
「初回から2回目へのリピート率を70%にする」
というように数字で設定すると、何を改善すべきか共有しやすくなります。
鍼灸院で見るべきKPIの全体像
鍼灸院のKPIは、大きく5つの段階で考えると整理しやすくなります。
- 認知のKPI
- 興味・比較のKPI
- 予約・問い合わせのKPI
- 来院・リピートのKPI
- 紹介・口コミのKPI
患者さんは、いきなり予約するわけではありません。
まず院を知り、興味を持ち、比較し、予約し、来院し、継続するか判断します。
それぞれの段階で見るべき数字が異なります。
1. 認知のKPI
認知とは、地域の患者さんに自院の存在や特徴を知ってもらうことです。
認知のKPIとしては、次のようなものがあります。
Googleマップの表示回数。
Google検索での表示回数。
ホームページのアクセス数。
SNS投稿の表示回数。
SNSプロフィール閲覧数。
チラシ配布数。
看板を見たと言ってくれた人数。
地域イベントで接点を持った人数。
認知の段階では、まずどれだけ患者さんとの接点が作れているかを見ます。
ただし、表示回数やアクセス数だけを増やしても、予約につながるとは限りません。
大切なのは、
自院に合った患者さんに届いているか
です。
たとえば、遠方の人ばかりにSNS投稿が見られていても、地域の鍼灸院の集客にはつながりにくい場合があります。
2. 興味・比較のKPI
患者さんが自院に興味を持ち、他院と比較している段階で見るKPIです。
具体的には、
症状別ページの閲覧数。
料金ページの閲覧数。
初めての方向けページの閲覧数。
アクセスページの閲覧数。
Googleマップの写真閲覧数。
Google口コミの閲覧数。
SNS投稿の保存数。
ホームページ滞在時間。
複数ページ閲覧数。
などがあります。
この段階では、患者さんが自院について詳しく知ろうとしているかを確認します。
たとえば、ホームページのアクセス数は多いのに、料金ページや初回案内ページがほとんど見られていない場合、導線が弱い可能性があります。
また、症状別ページは読まれているのに予約につながらない場合、ページ内に予約導線や安心材料が不足しているかもしれません。
3. 予約・問い合わせのKPI
予約や問い合わせに関するKPIは、集客成果に直結します。
見るべき数字は、
Web予約数。
LINE問い合わせ数。
電話件数。
問い合わせフォーム送信数。
予約フォーム到達数。
予約フォーム完了率。
LINE登録数。
LINE登録後の初回メッセージ送信数。
Googleマップからの電話数。
Googleマップからの経路案内数。
CVR。
などです。
ここでは、患者さんが実際に行動しているかを見ます。
たとえば、LINE登録数は多いのに予約が少ない場合、登録後の案内が不足している可能性があります。
予約フォーム到達数は多いのに完了率が低い場合、フォーム入力が難しい可能性があります。
電話タップ数は多いのに予約が少ない場合、電話対応や受付時間に課題があるかもしれません。
4. 来院・リピートのKPI
予約が入っても、初回だけで終わってしまうと院経営は安定しにくくなります。
来院後のKPIとしては、
新規患者数。
初回来院数。
無断キャンセル数。
初回から2回目へのリピート率。
2回目から3回目への継続率。
平均来院回数。
平均継続期間。
次回予約率。
メンテナンス移行率。
LTV。
などがあります。
特に重要なのは、初回から2回目へのリピート率です。
2回目につながらない場合、
初回説明が不足している。
通院の目的が伝わっていない。
期待値にズレがある。
料金への不安が残っている。
次回予約の意味が伝わっていない。
といった課題が考えられます。
5. 紹介・口コミのKPI
鍼灸院では、紹介や口コミも重要な集客経路です。
見るべきKPIは、
Google口コミ数。
月間の新規口コミ数。
口コミへの返信率。
口コミの平均評価。
口コミ内に出てくるキーワード。
紹介による新規患者数。
紹介カードの利用数。
家族紹介数。
SNSでのシェア数。
などです。
口コミ数だけでなく、内容も確認しましょう。
「説明が丁寧」
「初めてでも安心」
「話を聞いてくれる」
「無理な勧誘がない」
「院内が清潔」
といった言葉が多く出ていれば、自院のブランドやUSPが患者さんに伝わっている可能性があります。
目的別に見る鍼灸院のKPI例
KPIは、何を目標にするかによって変わります。
ここでは、目的別に見るべきKPIを整理します。
目的1:新規患者さんを増やしたい
見るべきKPIは、
Googleマップ表示回数。
ホームページアクセス数。
症状別ページ閲覧数。
LINE登録数。
問い合わせ数。
予約数。
CVR。
CPA。
です。
新規患者さんを増やしたい場合は、まず認知から予約までの流れを確認します。
どれだけ見られているか。
興味を持たれているか。
問い合わせにつながっているか。
予約に進んでいるか。
を分解して見ます。
目的2:ホームページからの予約を増やしたい
見るべきKPIは、
ホームページアクセス数。
症状別ページ閲覧数。
料金ページ閲覧数。
予約ボタンクリック数。
予約フォーム到達数。
予約フォーム完了率。
CVR。
です。
アクセス数が多いのに予約が少ない場合は、CVR改善が必要です。
予約ボタン、料金、初回の流れ、口コミ、先生紹介、スマホ対応などを見直しましょう。
目的3:Googleマップからの集客を増やしたい
見るべきKPIは、
Googleビジネスプロフィールの表示回数。
検索キーワード。
電話数。
経路案内数。
ホームページクリック数。
写真閲覧数。
口コミ数。
口コミ返信率。
です。
Googleマップでは、写真、口コミ、営業時間、説明文、サービス内容、投稿が重要です。
表示されているのに行動が少ない場合は、安心材料が不足している可能性があります。
目的4:リピート率を上げたい
見るべきKPIは、
初回から2回目へのリピート率。
2回目から3回目への継続率。
次回予約率。
平均来院回数。
初回後フォロー率。
メンテナンス移行率。
です。
リピート率を上げたい場合は、初回体験を見直します。
問診で目的を確認しているか。
現在の状態を説明しているか。
施術の目的を伝えているか。
次回の意味を伝えているか。
通院目安に納得感があるか。
を確認しましょう。
目的5:広告の費用対効果を見たい
見るべきKPIは、
広告費。
クリック数。
クリック単価。
予約数。
CPA。
広告経由の売上。
ROAS。
広告経由患者のリピート率。
広告経由患者のLTV。
です。
広告は初回予約数だけで判断しないことが重要です。
広告経由の患者さんが、自院に合っているか、継続しているか、LTVが高いかまで確認しましょう。
KPIを設定するときの注意点
KPIは便利ですが、設定の仕方を間違えると逆効果になることもあります。
1. 数字を増やすことだけが目的にならないようにする
アクセス数、フォロワー数、口コミ数などは大切です。
しかし、数字だけを追うと、本来の目的を見失うことがあります。
たとえば、SNSのフォロワーが増えても、地域の患者さんに届いていなければ来院にはつながりにくいです。
口コミ数を増やそうとして無理な依頼をすれば、信頼を損なう可能性があります。
KPIは、患者さんとの良い関係を作るための指標であり、数字そのものが目的ではありません。
2. KPIを多くしすぎない
最初から多くの数字を管理しようとすると、続きません。
まずは、重要なKPIを3〜5個に絞りましょう。
たとえば、
新規予約数。
ホームページCVR。
Googleマップからの電話数。
初回から2回目へのリピート率。
Google口コミ数。
このように、院の課題に合った数字を選びます。
3. 短期間で判断しすぎない
SEO、MEO、SNS、口コミは、すぐに成果が出るとは限りません。
1週間や数日だけ見て判断すると、誤った結論になることがあります。
広告のように短期で判断しやすい施策もありますが、SEOや口コミは数ヶ月単位で見ることが大切です。
4. 数字の背景を確認する
KPIは数字だけを見ても意味がありません。
たとえば、予約数が増えていても、リピート率が下がっているなら、来院している患者層が自院と合っていない可能性があります。
口コミ数が増えていても、内容が自院の強みとズレているなら、ブランディングを見直す必要があります。
数字の背景にある患者さんの行動や心理を考えることが重要です。
KPI改善の基本ステップ
鍼灸院でKPIを改善する流れは、次のように考えるとわかりやすいです。
1. 目標を決める
まず、何を改善したいのかを決めます。
新規患者数を増やす。
予約率を上げる。
リピート率を上げる。
口コミを増やす。
広告費用対効果を改善する。
目標が曖昧だと、KPIも曖昧になります。
2. 現状の数字を確認する
次に、現在の数字を確認します。
月の新規患者数。
ホームページアクセス数。
予約数。
CVR。
リピート率。
口コミ数。
広告費。
CPA。
現状がわからなければ、改善したかどうか判断できません。
3. ボトルネックを見つける
ボトルネックとは、成果を妨げている一番大きな詰まりです。
たとえば、
アクセスが少ないなら、認知やSEO・MEOが課題。
アクセスは多いが予約が少ないなら、CVRが課題。
予約はあるが2回目につながらないなら、初回体験や通院提案が課題。
広告費が高いなら、CPAやリンク先ページが課題。
というように考えます。
4. 改善施策を一つ実行する
一度にすべてを変えると、何が効果を出したのかわからなくなります。
まずは一つ改善します。
予約ボタンをわかりやすくする。
料金ページを整える。
Googleマップに写真を追加する。
口コミ依頼の導線を作る。
初回後フォローを送る。
LINE自動返信を改善する。
小さな改善を積み重ねましょう。
5. 数字を見て振り返る
改善後に、KPIがどう変わったかを確認します。
予約ボタンを変えた後、クリック数は増えたか。
LINE自動返信を変えた後、予約数は増えたか。
口コミ依頼を始めた後、口コミ数は増えたか。
初回説明を整えた後、リピート率は上がったか。
このように、数字を見ながら改善を続けます。
鍼灸院で最初に見るべき5つのKPI
最初から多くのKPIを追う必要はありません。
まずは、以下の5つを見るとよいでしょう。
1. 新規予約数
月に何人の新規患者さんが予約しているかを確認します。
これは集客の基本指標です。
2. ホームページまたはGoogleマップからの問い合わせ数
どの媒体から問い合わせが来ているかを確認します。
媒体ごとの成果が見えます。
3. CVR
ホームページや予約ページを見た人のうち、どれくらいが予約や問い合わせにつながっているかを見ます。
予約導線の強さがわかります。
4. 初回から2回目へのリピート率
初回来院後に、患者さんが継続しているかを確認します。
初回体験や通院説明の質を見る指標です。
5. Google口コミ数
口コミはMEOや信頼形成に関わります。
月に何件増えているか、内容にどんな言葉が多いかを確認しましょう。
KPIを見るうえで大切な患者さん目線
KPIは数字ですが、その数字の向こうには患者さんの行動があります。
アクセス数が少ないなら、患者さんに見つけてもらえていない。
料金ページで離脱しているなら、料金への不安がある。
予約フォームで離脱しているなら、入力が面倒かもしれない。
2回目につながらないなら、通院の意味が伝わっていないかもしれない。
口コミが増えないなら、お願いする導線がないかもしれない。
数字を見る目的は、患者さんを管理することではありません。
患者さんがどこで迷い、どこで不安を感じ、どこで行動を止めているのかを理解することです。
KPIは、患者さん目線で改善するためのヒントです。
20回の連載で伝えたかったこと
今回の連載では、鍼灸師が知っておきたいマーケティング知識として、ターゲット、ペルソナ、ポジショニング、USP、ベネフィット、ニーズとウォンツ、カスタマージャーニー、AIDMA・AISAS、認知、ブランディング、コンテンツマーケティング、SEO、MEO、口コミ、リピート率、LTV、CV・CVR、CPA・ROAS、EFO、KPIを取り上げてきました。
これらは、すべて別々の知識に見えるかもしれません。
しかし、根本にある考え方は同じです。
患者さんに、自院の価値を正しく届けること。
そして、
患者さんが安心して相談できる導線を整えること。
マーケティングは、患者さんを無理に集めるためのものではありません。
必要としている人が、自分に合った鍼灸院を見つけ、納得して予約し、安心して通えるようにするための考え方です。
まとめ
KPIとは、目標達成に向けて順調に進んでいるかを確認するための重要指標です。
鍼灸院では、
認知。
興味・比較。
予約・問い合わせ。
来院・リピート。
口コミ・紹介。
という流れに分けてKPIを設定すると、マーケティング施策を改善しやすくなります。
見るべき数字には、
ホームページアクセス数。
Googleマップ表示回数。
問い合わせ数。
予約数。
CVR。
リピート率。
LTV。
CPA。
ROAS。
口コミ数。
などがあります。
ただし、数字を追うこと自体が目的ではありません。
大切なのは、数字を通じて患者さんの行動や不安を理解し、より安心して相談できる状態へ改善していくことです。
鍼灸院のマーケティングは、広告やSNSだけではありません。
患者さんを理解し、自院の価値を言葉にし、必要な情報を届け、予約しやすい導線を作り、来院後の信頼関係を育てること。
そのすべてがマーケティングです。
20回にわたる連載を通じてお伝えしてきた知識が、地域で信頼され、患者さんに選ばれる鍼灸院づくりの一助となれば幸いです。
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