鍼灸師の国家試験はいつから始まったのか?
鍼灸師の国家試験制度は、1988年(昭和63年)に行われた法律改正をきっかけに、現在のような全国統一試験として実施されるようになりました。
それ以前は、都道府県ごとの免許制度や地域単位での試験も存在しており、教育課程や試験内容にばらつきがあったのです。
1988年の改正では、鍼師・灸師それぞれの国家資格について厚生労働省(当時は厚生省)が所管する統一試験とすることが明文化され、全国共通の基準で実力が評価される体制が整えられました。
国家試験の対象となる資格とは?
鍼灸に関する国家資格は、以下の2つです。
- はり師(鍼師)
- きゅう師(灸師)
この2つの資格は別々に試験が行われるため、両方の資格を取得するためには、それぞれの国家試験に合格する必要があります(同日に受験可能)。
実務では両方を取得しているケースがほとんどで、「鍼灸師」という呼び名は実務上の総称です。
国家試験の受験資格と必要な課程
国家試験を受験するためには、次のような厚生労働大臣が指定した学校や養成施設での課程修了が必要です。
受験資格の主な条件:
- 高等学校卒業以上の学歴を持つ者
- 厚生労働省認定の専門学校・大学・短大などで3年以上のカリキュラムを修了
- 医療専門課程(解剖学・生理学・東洋医学・臨床実習など)を履修していること
この教育課程を終えることで、国家試験の受験資格が与えられます。
国家試験の内容と合格基準
国家試験は、例年2月下旬〜3月上旬に実施されます。
試験は筆記試験のみで、実技試験はありません(※2025年時点)。
主な出題科目:
- 医療概論(倫理・関係法規含む)
- 解剖学・生理学・病理学・臨床医学
- 東洋医学概論・経絡経穴・東洋医学臨床論
- はり理論/きゅう理論(それぞれ別に実施)
合格基準:
- 総得点の60%以上(かつ一部科目での最低点ラインあり)
合格率は年度により前後しますが、概ね80%前後を推移しています。近年では受験者数は約4,000〜5,000人程度で、養成校の在校生が大半を占めています。
制度改正の背景と今後の展望
1988年の法改正により、鍼灸師の教育・免許制度が統一されたことは、鍼灸の医療的信頼性と社会的地位の向上に大きく貢献しました。
また、全国で同じ試験が課されることにより、教育の質も均一化され、国民に対する医療サービスの質が担保されるようになったのです。
現在では、鍼灸は医療機関との連携、スポーツ医療、美容や福祉など多様な分野に活用が広がっており、国家資格としての重要性も年々高まっています。
今後は、より実践的な教育課程や、海外に通用するライセンス制度の整備なども議論されています。
✅ まとめ|国家試験を通して広がる鍼灸師の可能性
- 鍼灸師の国家試験は1988年の法改正により全国統一化された
- はり師・きゅう師は別々の資格で、それぞれ試験が必要
- 指定教育課程を修了すれば受験資格が得られる
- 国家試験は筆記試験のみで、医療・東洋医学の知識が問われる
- 合格後は医療・美容・スポーツなど幅広い分野で活躍が可能
鍼灸師は、人々の健康と暮らしを支える専門職です。
国家資格取得はその第一歩であり、確かな知識と技術を持って社会に貢献するための礎となります。
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