鍼灸師の先輩が実践!経絡経穴を楽しく覚える8つの効果的な学習法

鍼灸学習における経絡経穴の重要性

鍼灸師を目指す学生にとって、経絡経穴(ツボ)の学習は避けて通れない重要なカリキュラムです。経穴の正確な位置や適切な取穴法を覚えることは、効果的な施術を行うための臨床の基本であり、鍼灸師としての技術力を左右する重要な要素となります。しかし、全身に360以上ある経穴を体系的に理解し、確実に覚えるのは決して簡単ではありません。「覚えたはずなのに臨床で迷ってしまう」「どの経絡に属するか曖昧なまま」という悩みを抱える学生も少なくありません。

そこで本記事では、鍼灸学生が効率よく経絡経穴を学習し、臨床で自信を持って使いこなすための具体的な覚え方・勉強法を8つのコツとしてご紹介します。視覚・触覚・理論を組み合わせた実践的な学習法を取り入れることで、経穴の理解が深まり、国家試験対策はもちろん、将来の施術現場でも即戦力として役立つ知識と技術が身につくはずです。


1. ツボの位置は「触って覚える」が基本

まずは、自分の体やクラスメートの体を使って、実際にツボの位置を触って確認することが最も重要です。
たとえば「肩井(けんせい)」なら、首の根元と肩の中間を実際に指で探し、皮膚の下の感触や反応を確かめながら覚えると、頭だけでなく身体にも記憶されます。

教科書の図だけに頼るのではなく、人体模型・ペアワーク・鏡を使った自己触診など、立体的に学ぶ工夫が効果的です。


2. ツボはグループで覚えると整理しやすい

経穴は、部位や機能ごとに小さなブロック単位で分類して覚えるのがおすすめです。

  • 上肢(手〜腕)
  • 下肢(脚〜足)
  • 背部兪穴(背骨沿いのツボ)
  • 任脈・督脈(体の中心線上)

このように分けることで、学習の負担が軽減し、整理しながら理解を深めることができます。
また、隣接するツボ同士をセットで覚えると、関連性が明確になり臨床応用にもつながります。


3. 語呂合わせやイメージ記憶で楽しく暗記

「難しい名称が覚えられない…」という方は、語呂合わせ・ストーリー仕立て・イメージ記憶を活用しましょう。

例:

  • 「肩井(けんせい)」→「肩に井戸があると想像する」
  • 「合谷(ごうこく)」→「合(あ)う谷(たに)=親指と人差し指の間」

語源や漢字の意味を調べてみるのも◎。「なぜその名前なのか?」を知ることで、記憶に残りやすくなります。授業中や参考書で面白い語呂が紹介されたら、メモしてストックしておくのもおすすめです。


4. 声に出して反復練習+フラッシュカードの活用

記憶を定着させるには反復学習とアウトプットがカギです。
フラッシュカードを使って、ツボの名前・位置・経絡・主治を口に出しながら繰り返すことで、知識が確実に身につきます。

✅ 移動中や休憩中にサッと復習
✅ 音読しながら覚える
✅ ポスターやノートを壁に貼って視覚的に習慣化

これらを習慣にすることで、短期記憶から長期記憶へ移行しやすくなります。


5. グループ学習で学びを深める

友人同士でペア学習やクイズ形式の確認を取り入れると、記憶がより鮮明になります。

  • 交互にツボの名前を言って位置を取る
  • 「このツボはどの経絡?」など問題を出し合う
  • 模擬施術で触診と位置確認を同時に練習

人に教えることで、自分の理解も深まります。仲間と楽しく学ぶことで、勉強が“作業”ではなく“体験”になります。


6. オンライン学習ツールで視覚的に理解

最近では、YouTube・アプリ・eラーニングなど、視覚と音声で学べるツールが豊富です。

  • YouTubeで「ツボの位置」や「経穴解説」と検索
  • 鍼灸学生向けの有料・無料アプリを活用
  • 教材動画を見ながら自分の体で位置を確認

手元で見て、即触れることで、理解のスピードと質が大きく変わります。


7. 良質な参考書を活用して学習を体系化

自己学習には、わかりやすく、図解が豊富な専門書を使いましょう。おすすめは:

  • 『経穴マップ』シリーズ(イラストが豊富で覚えやすい)
  • 『鍼灸学総論』(基礎理論+実践知識のバランス良)
  • 『臨床経穴学』(臨床でのツボの使い方が学べる)

「参考書を1冊丸ごと写す」ような深い取り組みも、記憶だけでなく“体得”につながります。


8. 鍼灸名人に学ぶ:トレーシングで体得せよ

京都の猪飼鍼灸・猪飼祥夫先生は、学生の見学条件に「経穴図をトレーシングペーパーにすべて写してから来ること」を課したそうです。

この課題には以下の狙いがあります:

  • 経絡・経穴を図として身体に刷り込む
  • 筋肉・骨格・神経との関連性を理解する
  • 地道な作業で、鍼灸師に必要な“忍耐力”と“観察力”を養う

アナログな方法ながら、深い学びに直結する秀逸な勉強法です。


まとめ:ツボは“覚える”だけでなく“感じて使う”もの

経絡経穴の学習は、鍼灸師としての技術・信頼・結果すべてに直結する基本中の基本です。
単なる暗記で終わらせるのではなく、「どこに・なぜ・どのように」使うのかを考えながら学ぶことが大切です。

  • 実際に触って体感しながら覚える
  • グループで楽しく、反復で記憶を定着させる
  • 図・語呂・イメージ・実技…五感をフル活用する

最初は大変に感じるかもしれませんが、ツボを“使いこなせる喜び”を知ると学びがもっと楽しくなるはずです。

ぜひ、自分に合った学習スタイルを見つけて、経穴経絡を“好きな分野”にしていきましょう。
あなたの学びが、未来の患者さんの健康を支える技術となります。


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