鍼灸院開業時に成功するためのスタートダッシュ戦略:具体的な集客・リピーター獲得の方法

鍼灸院を開業する際、経営をスムーズに軌道に乗せ、スタートダッシュを成功させるためには、単に施術の技術や知識があるだけでは不十分です。しっかりとしたマーケティング戦略やリピーター獲得の戦術を駆使することが必要です。この記事では、鍼灸院が開業時にどのようにスタートダッシュをうまく切るか、具体的な戦略や戦術を交えて解説します。


1. 市場調査とターゲット層の明確化

鍼灸院の開業を成功させるための最初のステップは、市場調査とターゲット層の明確化です。これを怠ると、どんなに良い施術を提供しても、患者にアプローチできずに失敗してしまう可能性があります。

市場調査の重要性

市場調査は、開業予定地域の人口構成や競合の状況、ニーズを把握するために必要です。例えば、30代~40代の働く女性が多い地域では、肩こりやストレス解消を訴求した施術が求められる可能性があります。また、高齢者が多い地域では、慢性的な痛みや疾患に対する施術が効果的でしょう。

市場調査のポイント

  • 地域住民の年齢層や生活スタイル
  • 近隣の鍼灸院や整体院の数やサービス内容
  • 自院の強みを活かせるニッチな市場の発見

ペルソナ設定

市場調査をもとに、具体的な顧客像(ペルソナ)を設定します。ペルソナを詳細に描くことで、ターゲットに合わせた施策を考えやすくなります。例えば、「40代の女性会社員で、肩こりと慢性的な疲労に悩んでいる。自宅から通いやすい場所にあり、リラックスできる空間を重視している」といった具合です。


2. 鍼灸院のブランディングと内装デザイン

開業時に大事なのが、鍼灸院のブランディングです。特に、他の鍼灸院や整骨院・整体院との差別化が必要です。患者があなたの鍼灸院を選ぶ理由を明確にし、他とは異なる価値を提供しましょう。

鍼灸院のブランディング

ブランディングとは、鍼灸院が患者に与える印象や信頼感を作り出すことです。開業時には、以下の点を考慮してブランディングを行います。

  • コンセプト:どのような治療方針を持っているか、どのような悩みに特化しているのかを明確にします。例えば、ストレス解消に特化した鍼灸院、女性向けのリラクゼーション鍼灸など、差別化ポイントを打ち出します。
  • ロゴや店舗デザイン:視覚的な要素もブランディングにおいて重要です。ロゴ、看板、内装などが統一されていることで、鍼灸院の印象を強く残すことができます。

内装デザイン

患者がリラックスできる環境を提供することは、施術の効果を高めるだけでなく、リピーターの獲得にもつながります。内装は、清潔感と落ち着いた雰囲気を意識しましょう。

  • 清潔感のあるデザイン:特に治療院では、清潔感が信頼に直結します。施術スペースは広々とした空間を確保し、自然素材や中間色を使ったデザインが効果的です。
  • リラックスできる空間作り:温かみのある照明や、音楽、香りの演出も重要です。患者が心身ともにリラックスできる環境を整えることで、ストレス解消効果が高まります。

3. 集客に繋がるWebサイトとオンラインプレゼンスの強化

Webサイトの構築オンラインプレゼンスの強化は、現代の集客において欠かせません。特に、鍼灸院のような地域密着型ビジネスにおいて、SEO対策やGoogleマイビジネスの活用が大きな効果を発揮します。

Webサイトの基本要素

鍼灸院のWebサイトは、患者が最初に訪れる場所となる可能性が高いため、信頼感と安心感を与えるデザインにしましょう。

  • 施術内容の詳しい説明:患者が鍼灸に対してどのような効果が期待できるかを、具体的に記載します。特に、肩こりや腰痛、不眠症など、よくある悩みに対する説明を丁寧に行うことが重要です。
  • 料金表や施術時間:料金設定が明確でないと、患者が不安を感じます。施術の種類ごとに料金や施術時間を細かく説明し、透明性を持たせます。
  • 予約システムの導入:オンライン予約を導入することで、患者が手軽に予約できるようにします。予約のハードルを下げることで、来院数が増加します。

SEO対策

SEO(検索エンジン最適化)を施すことで、鍼灸院が地域検索で上位に表示されやすくなります。「地域名+鍼灸」、「肩こり 鍼灸」「腰痛 鍼灸」など、患者が検索しそうなキーワードをサイト内に取り入れましょう。

  • ローカルSEO:Googleマイビジネスに鍼灸院の情報を登録し、地域の患者に対しての検索結果で上位に表示されるようにします。
  • ブログや健康コラムの投稿:ブログを使って鍼灸に関する情報や健康に関するアドバイスを定期的に投稿し、SEO効果を高めます。

4. GoogleビジネスプロフィールとSNS活用

GoogleビジネスプロフィールSNSは、開業時に強力な集客ツールとなります。地域密着型のビジネスにとって、Googleの検索結果で目立つことや、SNSを通じて患者とのコミュニケーションを図ることは不可欠です。

Googleビジネスプロフィールの設定

Googleビジネスプロフィールは、鍼灸院が地元で検索された際に、Googleマップや検索結果に表示されるため、非常に効果的な集客ツールです。

  • 正確な情報の記載:住所、電話番号、営業時間などの基本情報を正確に入力し、定期的に更新します。
  • 口コミの活用:患者に対して、施術後に口コミをお願いしましょう。特にポジティブな口コミが集まれば、信頼感が向上し、新規患者を呼び込みやすくなります。
  • 投稿機能の活用:キャンペーンや新メニューの告知など、定期的に投稿を更新して鍼灸院の存在感を高めます。

SNSでの集客

InstagramやFacebookは、鍼灸の効果を視覚的に伝えるためのツールとして非常に有効です。

施術のビフォーアフターを紹介:施術による変化や、実際の施術の流れを写真や動画で共有することで、鍼灸の効果を具体に伝えることができます。特に、ビジュアルが強いInstagramや短い動画を活用できるTikTokなどは、潜在患者に鍼灸のメリットを理解させるのに有効です。

  • セルフケアのアドバイス:自宅で簡単にできるツボ押しやストレッチなど、患者が実践できるセルフケアの方法を紹介します。これにより、フォロワーとのエンゲージメントが高まり、定期的にチェックしてもらえるようになります。
  • リールやストーリーズを活用:Instagramのリールやストーリーズを使って、施術の裏側や患者の声などを短い動画で紹介すると、親しみやすさが増します。

5. 初回体験キャンペーンとリピーター獲得戦略

開業時には、新規患者を呼び込むための初回体験キャンペーンを積極的に展開しましょう。鍼灸の良さを初回で感じてもらい、次回来院につなげるためには、リピーター獲得のための施策も重要です。

初回体験キャンペーン

新規患者が来院しやすくするためには、初回体験割引を行うのが効果的です。例えば、「初回限定50%オフ」や「初回1,980円で全身調整」など、料金的にお得感のあるキャンペーンを打ち出します。

  • 初回体験の告知:Webサイト、SNS、Googleビジネスプロフィールで初回体験キャンペーンを大々的に告知します。特にオンライン広告を使って地域住民にターゲットを絞った広告を打つことも効果的です。
  • 初回来院でリピーターを狙う:初回来院時には、次回の予約を促し、継続治療の重要性を説明します。施術後に患者が良い効果を実感したタイミングで、「次回も来院することでさらに効果を持続できます」とフォローすることが効果的です。

リピーター獲得のためのアフターフォロー

患者をリピーターにするためには、アフターフォローが重要です。来院後にフォローアップを行い、次回の予約につなげます。

  • フォローメールやLINE配信:施術後に患者へメールやLINEで施術結果や次回のケア方法を送信し、来院意欲を高めます。加えて、「次回予約で割引」などの特典をつけると効果的です。
  • 定期通院を促す施策:月に1回の通院を推奨する場合、「毎月1回来院すると特典がつく」ような定期通院プランを導入します。これにより、患者の来院頻度が高まり、安定した経営が実現します。

6. クチコミの重要性と評判管理

開業時にスタートダッシュを成功させるためには、クチコミの力を最大限に活用することが重要です。特に、GoogleビジネスプロフィールやSNS上でのクチコミは、地域の患者にとって大きな信頼の指標となります。

クチコミを集める方法

  • 施術後に直接依頼:施術後に、満足している患者に対して、GoogleやSNSでクチコミを書いてもらうよう依頼します。クチコミを書くことで割引や特典を提供するキャンペーンを行うと、クチコミを集めやすくなります。
  • メールでのフォローアップ依頼:施術後、患者にフォローアップメールを送り、「よろしければクチコミをお願いできますか?」と依頼することで、クチコミ数が増えます。

ネガティブなクチコミへの対応

万が一、ネガティブなクチコミが書かれた場合も、迅速で丁寧な対応が重要です。誠実な対応をすることで、悪い評価を軽減するだけでなく、信頼を回復することもできます。以下のように対応します。

  • 謝罪と改善策の提示:まずは謝罪をし、その問題に対してどのように改善していくかを説明します。患者に寄り添う姿勢を見せることで、信頼を取り戻せる可能性があります。
  • 問題解決への積極的な姿勢:患者からのフィードバックをもとに、サービス改善やスタッフ教育を行っていることを伝え、ポジティブなイメージに変える努力をしましょう。

7. 地域密着型のオフライン施策

鍼灸院の開業時には、地域密着型のオフライン施策も重要です。地域の住民に鍼灸院を認知してもらい、来院してもらうためには、地元とのつながりを積極的に築きましょう。

地域イベントへの参加

地元で開催される健康フェアやイベントに積極的に参加し、無料体験や健康相談を行うことで、地域住民に鍼灸院の存在をアピールします。

  • 無料体験ブースの設置:イベント会場で短時間の鍼灸体験やツボ押しの指導を行うことで、興味を持った人々を来院につなげることができます。
  • 名刺やチラシの配布:イベント参加時には、必ず鍼灸院の名刺やチラシを配布し、初回割引や特典の情報を記載しておくと効果的です。

地域情報誌やフリーペーパーへの広告掲載

地元のフリーペーパーや情報誌に広告を掲載することで、地域の人々に鍼灸院の存在を広めます。広告には初回割引クーポンや特典を添えると、来院意欲を高めることができます。


8. 経営安定のためのコスト管理

開業後の経営を安定させるためには、コスト管理が不可欠です。収益を増やすだけでなく、支出をしっかり管理することで、健全な経営を維持します。

施術料金の設定と運営コストの管理

  • 競合との比較と価格設定:競合する鍼灸院の施術料金を調査し、自院の価格設定が適正かどうかを確認します。価格が高すぎると患者が来院しづらく、安すぎると収益が減ってしまうため、バランスを考慮しましょう。
  • 人件費や家賃の見直し:スタッフの雇用状況や家賃を定期的に見直し、必要に応じて交渉や見直しを行います。特に開業初期は、人件費を抑えるためにパートタイムスタッフを検討することも一つの手です。

定期的な収支の見直し

月次での収支を確認し、収益が目標に達しているか、無駄なコストがかかっていないかを常に把握しておくことが重要です。これにより、早期に経営の問題点を発見し、改善策を講じることができます。


鍼灸院開業を成功させるための総括:効果的な戦略とスムーズな経営のポイント

鍼灸院の開業時にスタートダッシュをうまく切るためには、市場調査やターゲット設定、ブランディングが重要な要素となります。また、WebサイトやGoogleビジネスプロフィール、SNSを活用したオンラインマーケティングを強化し、地域密着型のオフライン施策を組み合わせることで、初期段階での集客を最大化します。

さらに、リピーター獲得のためのアフターフォローや、口コミ管理、そしてコスト管理を徹底することで、安定した経営を実現できるでしょう。これらの具体的な戦術をしっかりと実行することで、鍼灸院の成功への道が開けます。


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