三陰交の効果と正しい取り方|婦人科系・冷え・不眠に効くツボの位置と刺激方法

三陰交とは?

三陰交(さんいんこう)は、東洋医学で非常に重要とされる経穴(ツボ)のひとつです。
このツボは足の三つの陰経(肝・脾・腎)が交わる場所にあるため、「三陰交」と呼ばれています。
東洋医学の理論では、これらの経絡は血流・ホルモンバランス・内臓機能
に深く関わるとされ、三陰交を刺激することで全身の調整作用が期待できます。

特に婦人科系の不調(生理痛・更年期症状など)や冷え性、むくみ、不眠などに効果的なツボとして知られています。


三陰交の場所と取り方

三陰交は足の内側のくるぶしの上にあります。

🔹取り方のポイント

  1. 足の内くるぶしの一番高い位置を探します。
  2. そこから自分の指幅4本分(約5〜6cm)上に移動。
  3. すねの骨(脛骨)のすぐ後ろ側(後縁)のくぼみが三陰交です。

📍ちょうど押すと「ズーン」と響くような感覚があり、やや圧痛を感じることもあります。
両足にありますが、体調に合わせて片方または両方を刺激しても構いません。


三陰交が効く症状と主な効果

三陰交は「女性のツボ・冷えのツボ・自律神経のツボ」として知られ、幅広い効果が期待されます。

🔸1. 婦人科系の不調

  • 月経痛(月経時の下腹部痛)
  • 月経不順・更年期障害
  • PMS(月経前症候群)
  • 不妊症・産後の回復サポート

➡️ ホルモンバランスを整え、子宮や卵巣の血流を改善します。

🔸2. 消化器・代謝の改善

  • 食欲不振・消化不良
  • お腹の張りや便秘
    ➡️ 脾経(消化器系の働き)を整え、胃腸の動きをサポート。

🔸3. 精神的ストレス・不眠

  • イライラ・気分の落ち込み
  • 睡眠の質の低下
    ➡️ 自律神経を整え、リラックス効果を高めます。

🔸4. 冷え・むくみ

  • 下半身の冷え
  • 脚のだるさ・むくみ
    ➡️ 血行と水分代謝を促進し、冷え性体質の改善に役立ちます。

三陰交の刺激方法

🔹1. 指圧によるセルフケア

  1. 親指の腹を使って三陰交の位置を押さえます。
  2. 5秒かけてゆっくり押し、5秒かけて離すリズムで10回ほど繰り返します。
  3. 1日2〜3回、寝る前や入浴後のリラックスタイムがおすすめです。

💡ポイント:

  • 強く押しすぎず、「痛気持ちいい」程度の刺激がベスト。
  • 冷え性や生理痛の時期は、軽いマッサージを続けると効果的です。

🔹2. お灸による温熱刺激

お灸は、ツボをじんわり温めることで血行を促進し、気血の流れを整える効果があります。

おすすめのお灸タイプ

  • 台座灸(シール付きで安全)
  • 無煙タイプ(煙が少なく家庭向き)

やり方

  1. 三陰交の位置にお灸を置く。
  2. 熱さを感じたらすぐに外す(低温やけど防止)。
  3. 1回5分程度、週に2〜3回を目安に行います。

💬 おすすめ商品例

  • セイリン「台座灸ヨモニコ」
  • 山正「せんねん灸 はじめてのお灸」

🔹3. 鍼(しん)刺激

鍼灸院では、三陰交に細い鍼を打ち、経絡の流れを整える治療を行います。
特に、生理痛・更年期・不妊サポートでは、他のツボ(関元・太衝など)と組み合わせて施術されることが多いです。


三陰交の語源と意味

「三陰交」の“陰”とは、東洋医学で体の内側・下半身・臓腑の働きを表します。
三陰交は、肝経・脾経・腎経の三つの陰経が交わる場所に位置するため、この名がつけられました。

  • 肝経 → 血流と感情のバランス
  • 脾経 → 消化吸収・代謝機能
  • 腎経 → 生命エネルギー・生殖機能

これら三つの経絡の交わりを刺激することで、体の根本から気・血・水の調和を図ることができます。


三陰交を刺激する際の注意点

  • 妊娠中(特に妊娠初期)は刺激を避けましょう。
     → 三陰交は分娩促進のツボでもあるため、医師や助産師に相談が必要です。
  • 食後すぐ・発熱時・飲酒後は避けましょう。
  • 強い痛みや違和感がある場合は中止し、鍼灸師に相談してください。

まとめ|三陰交で女性の健康と自律神経を整える

三陰交は、婦人科系・消化器・自律神経など、さまざまな不調にアプローチできる万能ツボです。
冷え・生理痛・不眠などの改善を目的に、毎日のセルフケアに取り入れやすいツボとしておすすめです。

手軽にできる指圧やお灸から始め、体の変化を感じたら専門の鍼灸師に相談してみましょう。
正しく刺激することで、心身のバランスを整え、より健やかな毎日をサポートします。

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