高麗手指鍼とは?
高麗手指鍼(Koryo Hand Therapy)は、1970年代に韓国の柳泰佑(ユ・テウ)博士によって体系化された手の反射区理論に基づく鍼治療法です。
手のひらと指には、全身の臓器や筋骨格系に対応する経絡・反射ゾーンが投影されており、そこに刺激を与えることで身体全体のバランスを整えることを目的としています。
東洋医学では「手は小さな人体」とも呼ばれ、手に全身の経絡が集約されています。高麗手指鍼は、その考えをさらに発展させた韓国独自の微細鍼治療法です。
高麗手指鍼の理論背景
高麗手指鍼では、手を**全身の縮図(ミニチュアボディ)**と捉えます。
- 手のひら中央部 → 内臓(胃・腸・肝・腎)
- 手の甲側 → 背中・脊柱・筋肉系
- 指先 → 頭部・感覚器(目・耳・鼻)
- 手根部 → 骨盤・下半身
このように各部位に対応する「ゾーン」を刺激することで、遠隔的に全身の臓腑機能を調整します。
特に、指先や指の関節部には神経が密集しており、経絡刺激により自律神経系にも良い影響を与えるとされています。
高麗手指鍼の施術法
1️⃣ ツボ(経穴)の特定
手の甲や手のひらに設けられた「標準経穴図」に基づき、症状に対応するツボを探します。
例)
- 胃の不調 → 手のひら中央部
- 頭痛 → 中指先端部
- 腰痛 → 手首付近の背面部
2️⃣ 鍼による刺激
専用の**極細の短鍼(0.8〜1.0mm程度)**を使用します。
手の皮膚に浅く刺入するため、痛みはほとんどありません。
施術時間は10〜20分程度で、心地よい温感や軽い刺激感が得られます。
3️⃣ 球鍼・粒鍼を用いた持続刺激
施術後に、貼るタイプの粒鍼(金粒・銀粒・磁気粒など)をツボに貼り、持続的に刺激することもあります。
これにより効果が長持ちし、自宅でもセルフケアが可能です。
4️⃣ 灸・温熱療法との併用
高麗手指鍼では、手指に温灸を行うことで血流促進とリラクゼーション効果を高めることもあります。
高麗手指鍼で期待できる効果
🔹 慢性的な痛みの緩和
肩こり、腰痛、関節痛など、全身の慢性疼痛の緩和に有効とされています。
特に、手に鍼を刺すだけで腰や肩の痛みが軽減するという即効性が特徴です。
🔹 ストレス・自律神経の安定
自律神経系のバランスを整え、ストレスや不眠、イライラなどの精神的な症状を和らげます。
🔹 消化器・呼吸器の不調改善
胃腸の働きを助け、食欲不振・便秘・過敏性腸症候群(IBS)などに効果が期待されます。
また、呼吸器系では喘息・鼻づまり・慢性気管支炎の改善にも応用されます。
🔹 免疫力の向上
定期的な施術により、白血球活性や代謝の促進が見られるとされ、風邪をひきにくい体質づくりにも貢献します。
🔹 ホルモンバランスの調整
月経痛・更年期障害など、女性特有の不調にも高麗手指鍼が有効とされています。
高麗手指鍼の適応と注意点
適応症
- 肩こり・腰痛・頭痛などの慢性痛
- 消化不良・便秘・胃腸虚弱
- ストレス・不眠・更年期症状
- 免疫低下・疲労回復・冷え性
注意点
- 妊娠初期や出血傾向のある方は、事前に医師または専門家へ相談
- 強い痛みや腫れがある場合は、自己判断で施術しない
- 不衛生な環境での施術は感染リスクがあるため、衛生管理の徹底が必須
高麗手指鍼と日本鍼灸の違い
| 比較項目 | 高麗手指鍼 | 日本伝統鍼灸 |
|---|---|---|
| 施術部位 | 手のひら・指 | 全身(経絡上の経穴) |
| 使用鍼 | ごく短い極細鍼 | 長鍼・毫鍼など |
| 刺入深度 | 0.5〜1mm(浅刺) | 5〜30mm(部位により) |
| 施術目的 | 反射刺激・自律神経調整 | 経絡バランス・局所治療 |
| 痛み | ほとんどなし | 軽度の刺激感あり |
| 即効性 | 高い(遠隔反射による) | 中~高(局所+全身調整) |
高麗手指鍼は全身への影響を手だけで実現できるため、
「短時間・低刺激・高安全性」を重視する現代人に適した治療法として人気が高まっています。
まとめ:高麗手指鍼で手から全身を整える
高麗手指鍼は、手のツボを刺激して全身の不調を改善する韓国発の鍼療法です。
痛みの少ない施術で、肩こりや腰痛、ストレス、消化不良など幅広い症状に対応できます。
🔸 初めての方は、認定を受けた専門施術者(高麗手指鍼学会認定など)に相談するのがおすすめです。
🔸 自宅でのセルフケアとして「粒鍼」や「温灸」を併用することで、より高い効果が期待できます。
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