1. 女性ホルモンとは?
女性ホルモンは、生殖機能や月経周期の調整、感情や代謝にも関わる重要なホルモン群です。
主に卵巣で分泌され、思春期・妊娠・更年期といったライフステージに応じて分泌量が変化します。
主な女性ホルモンは以下の3つです👇
2. 主な女性ホルモンの種類と役割
① エストロゲン(Estrogen)
特徴: 「女性らしさ」を作るホルモン。卵巣の卵胞で産生されます。
主な働き:
- 月経周期の前半(卵胞期)に増加し、子宮内膜を厚くする
- 乳房や骨の発達、肌のうるおいを保つ
- コレステロールを調整し、動脈硬化を予防
- 骨密度を維持し、骨粗鬆症を防ぐ
② プロゲステロン(Progesterone)
特徴: 妊娠をサポートするホルモン。排卵後の黄体から分泌されます。
主な働き:
- 子宮内膜を受精卵の着床に適した状態に整える
- 体温を上昇させ、基礎体温の変化に影響
- 精神を安定させる一方で、過剰分泌時はむくみや眠気を感じることも
③ テストステロン(Testosterone)
特徴: 一般に男性ホルモンとして知られますが、女性にも必要なホルモンです。
主な働き:
- 筋肉や骨の強化、基礎代謝の維持
- 性欲や活力、集中力を高める
- エストロゲンの前駆体として機能し、ホルモンバランスを支える
3. 女性ホルモンのバランスが乱れるとどうなる?
ホルモンのバランスは非常に繊細で、ストレスや生活習慣の乱れで崩れやすいものです。
乱れが生じると、以下のような不調が起こりやすくなります。
| 症状・状態 | 主な原因 | 
|---|---|
| 月経不順 | エストロゲン・プロゲステロンの分泌異常 | 
| PMS(月経前症候群) | ホルモン変動と自律神経のアンバランス | 
| 更年期障害 | エストロゲン減少による体温調整機能の乱れ | 
| 不妊・排卵障害 | ホルモン周期の崩れ | 
| 骨粗鬆症 | エストロゲン低下による骨代謝の変化 | 
| 情緒不安・睡眠障害 | 自律神経の乱れやストレス反応の増加 | 
ホルモンの乱れは「体と心のリズムの乱れ」。
東洋医学では「気・血・水」の滞りとして捉え、整えるアプローチを重視します。
4. 東洋医学から見るホルモンバランスの乱れ
東洋医学では、女性の体調変化を「肝・脾・腎(かん・ひ・じん)」の働きと関係づけて考えます。
- 肝(かん):気と血の流れを調整。ストレスや情緒不安と関係。
- 脾(ひ):消化吸収を司り、エネルギーの源をつくる。
- 腎(じん):生命力・ホルモン・生殖機能を支える基礎。
ホルモンバランスの乱れは、これらの臓腑の機能低下や気血の滞りが背景にあるとされ、
鍼灸治療では経絡を整えてホルモンの巡りを助けることを目的とします。
5. 鍼灸によるホルモンバランス調整の効果
鍼灸は、自律神経や内分泌系に働きかけ、ホルモン分泌を間接的にサポートします。
科学的にも、鍼刺激が視床下部–下垂体–卵巣系(HPO軸)の調整に関与することが報告されています。
主な効果
- 自律神経の安定 → ストレスホルモンの抑制
- 血流促進 → 卵巣や子宮への栄養供給改善
- 睡眠・情緒の安定 → 更年期症状の軽減
よく使われるツボ
| ツボ名 | 位置 | 効果 | 
|---|---|---|
| 三陰交(さんいんこう) | 内くるぶし上、指4本分 | ホルモンバランス全般・月経痛 | 
| 気海(きかい) | へそ下、指2本分 | 冷え改善・気血を補う | 
| 太衝(たいしょう) | 足の甲、親指と人差し指の間 | 自律神経調整・ストレス緩和 | 
| 関元(かんげん) | へそ下3寸 | 子宮・卵巣機能のサポート | 
※鍼灸施術は体質や症状により刺激量を調整する必要があります。専門家の指導のもとで行いましょう。
6. ホルモンバランスを整える生活習慣
① 食事
- 大豆イソフラボン(納豆・豆乳・豆腐)でエストロゲン様作用
- ビタミンE・亜鉛・鉄分でホルモン合成を助ける
- 冷たい飲食を控え、腸を温める
② 運動
- ヨガ・ストレッチ・ウォーキングで血流を促進
- 無理のない範囲で週2〜3回の有酸素運動を継続
③ ストレス管理
- 深呼吸・瞑想・アロマでリラックス
- 「頑張りすぎない時間」をつくることもホルモンケアの一環
④ 睡眠
- 22時〜2時の間に深い睡眠を取ると、成長ホルモン・メラトニンが分泌されやすい
7. まとめ:ホルモンの「巡り」を整え、健やかな毎日へ
女性ホルモンは、身体のリズム・感情・美容のすべてを支える基盤です。
食事・運動・睡眠・鍼灸を組み合わせて、「整える生活」を意識することで、
ホルモンバランスの乱れに強い体を育むことができます。
※月経不順や更年期症状が長く続く場合は、医師や鍼灸師への相談をおすすめします。
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