いまさら聞けない!脂質とは?

脂質の役割と上手な摂取方法を徹底解説

脂質(ししつ)は、食事や健康の話題で避けられがちな栄養素ですが、実は私たちの体にとってなくてはならない重要な存在です。よく「脂肪」として紹介されることが多い脂質ですが、適切に摂取することで健康をサポートする役割を果たしています。

今さら聞けない「脂質」について、その基本的な知識から、健康への影響、そして正しい摂取方法までをわかりやすく解説します。


1. 脂質とは?

脂質は、炭水化物やタンパク質と並ぶ、三大栄養素の一つです。体にとって必要不可欠なエネルギー源であり、その他にも細胞の形成やホルモンの生成など、健康に重要な役割を担っています。

脂質の分類

脂質は大きく分けて、以下の3つに分類されます。それぞれの特徴と健康に与える影響について理解することが大切です。

  1. 飽和脂肪酸:動物性食品(肉の脂身やバター)やココナッツオイルなどに多く含まれます。摂りすぎると悪玉コレステロール(LDL)が増え、心血管疾患のリスクを高めるとされています。
  2. 不飽和脂肪酸:主に植物油や魚に含まれる脂肪酸で、さらに「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分かれます。これらは心臓の健康を保つ良質な脂肪として注目されています。オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸はこの不飽和脂肪酸に分類されます。
  3. トランス脂肪酸:加工食品や揚げ物などに含まれる脂肪酸で、人工的に生成されることが多いです。悪玉コレステロール(LDL)を増やし、心臓病のリスクを大きく高めるため、できるだけ摂取を控えるべき脂肪です。

2. 脂質の役割とは?

脂質は、体のさまざまな機能を支える重要な役割を果たしています。以下にその代表的な役割を紹介します。

エネルギー源としての役割

脂質は、1gあたり9kcalのエネルギーを供給します。これは炭水化物やタンパク質の約2倍のエネルギー密度で、持続的なエネルギー供給が可能です。特に、運動時や長時間の活動中に体内の脂質は重要なエネルギー源として利用されます。

細胞膜の構成要素

脂質は、体の細胞膜を構成する重要な成分です。細胞膜は、細胞を外的環境から守り、物質の出入りを調整する役割を持っています。脂質、特に多価不飽和脂肪酸は細胞膜の柔軟性と健康を保つために不可欠です。

ホルモンの生成

脂質は、ホルモンの生成に欠かせません。例えば、コレステロールは性ホルモンや副腎皮質ホルモンの原料となります。また、脂質は胆汁酸の材料でもあり、脂肪を消化吸収するために必要な物質です。

脂溶性ビタミンの吸収を助ける

ビタミンA、D、E、Kは脂溶性ビタミンと呼ばれ、脂質と一緒に摂取することで体内に吸収されやすくなります。脂質が不足すると、これらのビタミンの吸収率が低下し、肌荒れや骨の脆弱化などの栄養不良の症状が現れることがあります。


3. どんな食品に脂質が含まれている?

脂質は、動物性・植物性の両方の食品に含まれていますが、その種類や健康への影響は異なります。ここでは、良質な脂質を多く含む食品と、控えたい食品を紹介します。

良質な脂質を含む食品

  • 魚類(サーモン、マグロ、イワシなど)
    • 魚には、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれ、心臓や脳の健康を促進します。特に青魚は、抗炎症効果もあるため、健康維持に効果的です。
  • ナッツ類(アーモンド、くるみ、カシューナッツなど)
    • ナッツは、一価不飽和脂肪酸を豊富に含み、悪玉コレステロールを減らす効果があります。間食やサラダに取り入れやすく、手軽に良質な脂肪を摂取できます。
  • アボカド
    • アボカドには、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸が多く含まれ、心臓の健康をサポートします。また、食物繊維やビタミンEも豊富で、美肌効果も期待できます。
  • オリーブオイル
    • オリーブオイルは、特にエクストラバージンオリーブオイルが抗酸化作用に優れ、心血管系の健康を保つ効果があります。料理の際に使う油として、非常に健康的です。

控えるべき脂質を含む食品

  • 加工食品や揚げ物(スナック菓子、ドーナツ、ファストフードなど)
    • これらの食品には、トランス脂肪酸が多く含まれており、心血管疾患のリスクを高めます。できるだけ摂取を控えるのが望ましいです。
  • バターやラード
    • 飽和脂肪酸が多く含まれており、取りすぎると悪玉コレステロールを増やす可能性があります。特に動物性脂肪の過剰摂取は注意が必要です。
  • 加工肉(ベーコン、ソーセージ、サラミなど)
    • 加工肉には飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が含まれるほか、塩分も高いため、適量に抑えることが大切です。

4. 脂質を摂取する際のポイント

脂質は健康に不可欠な栄養素ですが、過剰摂取や質の悪い脂肪を摂りすぎると、健康に悪影響を与える可能性があります。ここでは、脂質を適切に摂取するためのポイントを紹介します。

1日に必要な脂質の摂取量を知る

成人の1日の脂質の摂取量は、総エネルギー摂取量の**20~30%**が理想的とされています。例えば、1日2,000kcalを摂取する場合、そのうち400~600kcalを脂質から摂取することが推奨されます。これは、約44~67gの脂質に相当します。

良質な脂肪を選ぶ

不飽和脂肪酸を多く含む食品(魚、ナッツ、オリーブオイルなど)を選び、飽和脂肪酸トランス脂肪酸の摂取を抑えることが大切です。バランスの取れた食事を心がけることで、健康を維持しやすくなります。

調理方法にも注意

調理の際には、揚げ物などを避け、蒸す、焼く、煮るといった方法で脂質の摂取量をコントロールしましょう。また、オリーブオイルやキャノーラ油などの良質な油を使った調理が推奨されます。


5. 脂質が不足するとどうなる?

脂質は避けるべきものと思われがちですが、不足すると体にさまざまな悪影響が現れることがあります。

  • エネルギー不足:脂質が不足すると、体はエネルギー源を失い、疲労感や集中力の低下が起こります。
  • ホルモンバランスの乱れ:脂質はホルモン生成の材料となるため、不足するとホルモンバランスが崩れ、生理不順やストレスへの耐性低下などの症状が現れることがあります。
  • 肌や髪の乾燥:脂質が不足すると、肌や髪の乾燥が進み、ツヤが失われたり、肌荒れが起こることがあります。

脂質のまとめ

脂質は、体にとって重要なエネルギー源であり、細胞膜の構成やホルモン生成、ビタミン吸収など、さまざまな役割を担っています。適切な種類と量の脂質を摂取することで、健康を維持し、生活習慣病のリスクを減らすことができます。

魚やナッツ、オリーブオイルなどの良質な脂質を多く含む食品を積極的に取り入れ、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸の多い食品は控えめにすることが重要です。バランスの良い脂質の摂取を意識し、健康的な生活を送りましょう。食生活を維持しましょう。

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