鍼灸師が知っておくべき理学療法士との多職種連携基礎知識:相乗効果で広がる患者ケアの可能性

理学療法士の役割と主な業務内容

理学療法士(PT: Physical Therapist)は、病気や怪我、障害などによって身体の機能が低下した患者に対して、運動療法や物理療法を用いて機能の回復や維持を図る専門職です。理学療法士は、患者が日常生活をスムーズに送れるよう支援し、生活の質を向上させることを目的としています。

理学療法士の主な仕事内容

1. 診断と評価

理学療法士は、患者の身体機能を詳細に評価し、問題の原因を特定します。この評価には、筋力、柔軟性、バランス、姿勢などのチェックが含まれます。

2. 治療計画の作成

評価に基づき、個々の患者に最適な治療計画を立てます。この計画には、運動療法、物理療法、姿勢矯正、生活指導などが含まれます。

3. 運動療法の実施

患者に対して、筋力トレーニングやストレッチ、バランス訓練などの運動療法を指導します。これにより、患者の身体機能を改善し、回復を促進します。

4. 物理療法の提供

超音波療法、電気刺激療法、温熱療法、冷却療法などの物理療法を用いて、痛みの緩和や組織の治癒を支援します。

5. 日常生活の指導

患者が自宅で行うことができるエクササイズや、日常生活での注意点を指導します。これにより、治療の効果を維持し、再発を防ぎます。

理学療法士になるための道のり

理学療法士になるためには、養成校で3年以上学び、必要な知識と技術を身につけることが必要です。養成校には4年制大学、短期大学(3年制)、専門学校(3年制、4年制)、特別支援学校(視覚障害者が対象)があります。国家試験に合格する必要があります。養成校では、解剖学や生理学、運動学、臨床実習などの幅広い知識と技術を学びます。また、より専門的な知識を身に付ける場合、研究職をめざす場合などは修士や博士をめざす大学院もあります。

理学療法士の重要性

理学療法士は、リハビリテーション医療の現場で欠かせない存在です。患者の身体機能の回復をサポートし、生活の質を向上させるために、多くの分野で活躍しています。高齢化社会において、理学療法士の需要はますます高まっています。

日本における理学療法士の現状

日本では、令和3年時点での理学療法士数は、合計192,327人が登録されています。高齢化社会の進行に伴い、今後ますますその役割が重要になると期待されています。特に、介護施設や在宅医療において理学療法士の需要が高まっています。
医療従事者の需給に関する検討会第3回 理学療法士・作業療法士需給分科会「理学療法士・作業療法士の需給推計を踏まえた今後の方向性について(平成31年)」によると2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍となると予想されている。

参考:「理学療法士・作業療法士の需給推計を踏まえた今後の方向性について(平成31年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000499148.pdf

鍼灸師との他職種連携のメリット

  1. 包括的な治療アプローチ: 鍼灸師のツボ刺激と理学療法士の運動療法を組み合わせることで、相乗効果が期待できます。例えば、鍼灸で痛みを和らげた後に、理学療法で筋力や柔軟性を高めるといった統合的な治療が可能です。
  2. 患者の多様なニーズに対応: 鍼灸師と理学療法士が連携することで、患者の多様な健康ニーズに対応できるようになります。これにより、個々の患者に最適な治療を提供することができます。
  3. 治療の効率化: お互いの専門知識を活かし、治療計画を共有することで、重複を避け、効率的な治療を提供できます。

理学療法士のまとめ

理学療法士は、運動療法や物理療法を通じて、患者の身体機能の回復を支援する専門職です。鍼灸師と理学療法士の他職種連携は、患者に対して包括的で効果的な治療を提供するための重要なアプローチです。それぞれの専門分野の強みを活かし、協力することで、患者の健康と生活の質を向上させることができます。

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