1. 季節の変化とウェルビーイング ― 東洋医学の視点
東洋医学では、「自然と調和すること」が健康の基本とされています。
春・夏・秋・冬の季節ごとに気候・湿度・日照・気圧などが変化し、それに伴って体内の「気・血・水」のバランスも変わります。
季節の変化に適応することこそ、ウェルビーイング(心身の健康と幸福)を保つ秘訣です。
鍼灸は、季節ごとに変化する身体のリズムを整え、未病(病気になる前の不調)を防ぐ伝統的なケア法として最適です。
🌸 2. 春の鍼灸ケア ― 「気」を巡らせ、花粉とストレスをリセット
■ 季節の特徴と不調
春は「肝(かん)」の働きが高まる季節。
しかし気温の寒暖差や環境変化で、自律神経の乱れ・花粉症・イライラなどが起こりやすくなります。
■ 鍼灸の効果
- 気の滞りを解消し、ストレスや緊張をやわらげる
- 免疫力を高め、花粉症や鼻炎の症状を軽減
- 新しい環境への順応力をサポート
■ おすすめのツボ
| ツボ | 位置 | 効果 |
|---|---|---|
| 合谷(ごうこく) | 手の甲、親指と人差し指の骨の間 | 鼻づまり・ストレス緩和・免疫力向上 |
| 太衝(たいしょう) | 足の甲、親指と人差し指の間 | 気の巡りを整え、イライラを鎮める |
💡春は「デトックスの季節」。軽い運動や深呼吸も併用すると、より効果的です。
☀️ 3. 夏の鍼灸ケア ― 「熱」と「湿」を取り除くデトックス養生
■ 季節の特徴と不調
夏は「心(しん)」が盛んになる季節。
暑さ・湿気・冷たい飲食物の取りすぎにより、倦怠感・食欲不振・むくみ・不眠などが起こりやすくなります。
■ 鍼灸の効果
- 体内の熱を取り、のぼせ・倦怠感を緩和
- 胃腸の働きを整え、夏バテを予防
- 自律神経の乱れを整え、質の高い睡眠をサポート
■ おすすめのツボ
| ツボ | 位置 | 効果 |
|---|---|---|
| 中脘(ちゅうかん) | みぞおちとへその中間 | 胃腸機能を整え、食欲を回復 |
| 曲池(きょくち) | ひじを曲げた時の外側のくぼみ | 熱を下げ、のぼせ・湿気を除去 |
💡冷房の使いすぎによる「冷え疲れ」には、ぬるめのお風呂とお灸ケアが有効です。
🍂 4. 秋の鍼灸ケア ― 「潤い」を補い、呼吸と肌を整える
■ 季節の特徴と不調
秋は乾燥とともに「肺(はい)」が影響を受けやすい季節。
肌荒れ・咳・喉の不調・悲しみ・気分の沈みが現れやすくなります。
■ 鍼灸の効果
- 呼吸器の働きを高め、乾燥によるトラブルを防ぐ
- 肌や粘膜の潤いを保つ
- メンタルを落ち着かせ、穏やかな気持ちを保つ
■ おすすめのツボ
| ツボ | 位置 | 効果 |
|---|---|---|
| 肺兪(はいゆ) | 背中の肩甲骨内側 | 咳・喘息・呼吸器のケア |
| 太渓(たいけい) | 内くるぶしとアキレス腱の間 | 体内の潤いを保ち、乾燥を防ぐ |
💡秋は「心の養生」の季節。リラックスできる時間を意識的に取りましょう。
❄️ 5. 冬の鍼灸ケア ― 「温める」ことで免疫力と生命力を高める
■ 季節の特徴と不調
冬は「腎(じん)」が重要な季節。
冷え・腰痛・むくみ・免疫低下・ホルモンバランスの乱れが起こりやすくなります。
■ 鍼灸の効果
- 血行を促進し、冷え性を改善
- エネルギー(気)を補い、体力と免疫力を高める
- 体内の芯から温めることで、自律神経を安定化
■ おすすめのツボ
| ツボ | 位置 | 効果 |
|---|---|---|
| 関元(かんげん) | おへそから指3本下 | 体を温め、生命エネルギーを補う |
| 足三里(あしさんり) | 膝の下3cm外側 | 全身の血流促進・疲労回復・免疫力強化 |
💡温灸や温かい飲み物を取り入れ、体を「内から温める」ことが冬養生の基本です。
🌏 6. 季節ごとの鍼灸とウェルビーイングの関係
四季の変化に合わせた鍼灸ケアは、単なる体調管理ではなく、心と体の調和を保つための“自然との対話”です。
- 春 → 気を巡らせ、ストレスを解放
- 夏 → 熱を下げ、エネルギーを調整
- 秋 → 潤いを補い、呼吸と心を整える
- 冬 → 温めて、生命力を高める
定期的な鍼灸施術とセルフケアを組み合わせることで、
季節の変化に強いしなやかな身体と心を育むことができます。
自然のリズムに寄り添うこと――それが、東洋医学的ウェルビーイングの本質です。生活を送りましょう。
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