保健師とは?
保健師は、地域・職場・学校などで健康管理や疾病予防、健康教育を行う専門職です。
看護師が「病気の治療や療養支援」を担うのに対し、保健師は「病気を未然に防ぐ予防活動と健康支援」が主な業務です。
主な勤務先には以下のような職場があります。
- 行政保健師:市町村や保健所で住民の健康相談や母子保健、感染症対策を担当
- 学校保健師:小・中・高校や大学で児童・生徒の健康管理をサポート
- 産業保健師:企業の健康管理室などで社員の健康管理やストレスケアを実施
地域に根ざした活動を行うため、地域医療・福祉の中核的存在として活躍しています。
保健師の主な業務内容
1️⃣ 健康相談・健康指導
住民や職員に対して健康相談を行い、生活習慣改善・ストレス対策・病気予防のアドバイスを行います。
2️⃣ 健康診査と保健指導
健康診断や特定健診後のフォローアップを実施。数値異常がある人に対しては、生活習慣の見直しや医療機関の受診勧奨を行います。
3️⃣ 疾病予防活動
感染症や生活習慣病の予防を目的に、予防接種・啓発活動・健康イベントを企画・実施します。
4️⃣ 健康教育・地域啓発
地域住民を対象にした健康セミナー・講演・運動教室などを開催し、正しい健康知識の普及を推進します。
5️⃣ 地域活動と支援ネットワークの構築
地域の高齢者支援・子育て支援・メンタルヘルス支援など、多職種連携チームの一員として活動します。
保健師になるための資格と必要なスキル
🔹資格取得の流れ
- 看護師資格を取得(看護大学または専門学校で養成課程を修了)
- 保健師養成課程を1年以上履修(大学・専攻科など)
- 国家試験に合格し、保健師免許を取得
看護大学によっては、看護師・保健師のダブル受験制度があり、卒業時に両方の国家試験を受験できます。
🔹必要なスキル
- コミュニケーション能力:住民・医療職・行政との円滑な連携
- 観察力と判断力:健康状態を的確に把握
- 地域理解力と調整力:地域課題を発見し、行政・医療機関と協働して解決
保健師の社会的役割と重要性
現代社会では、高齢化・生活習慣病・ストレス社会など、多様な健康課題が増加しています。
保健師は、これらの課題に対して「地域全体の健康レベルを底上げするキーパーソン」として活動します。
たとえば:
- 高齢者のフレイル(虚弱)予防
- 子育て世代のメンタルサポート
- 感染症の早期発見と拡大防止
- 企業でのメンタルヘルス支援
こうした活動を通じて、医療費の抑制や地域包括ケアシステムの構築にも貢献しています。
鍼灸師が知っておくべき多職種連携のポイント
保健師と鍼灸師は、どちらも「健康増進と予防」を目的とした専門職です。
両者が連携することで、より包括的で効果的な地域ケアが可能になります。
🔸1. 情報共有と連携体制の構築
保健師は地域の健康課題や対象者の生活状況を把握しています。
鍼灸師が保健師と連携することで、疾病予防・リハビリ・在宅支援などにおける施術がより安全で有効になります。
🔸2. 鍼灸の専門性を理解してもらう
保健師に鍼灸のエビデンスや安全性を伝えることが、信頼関係構築の第一歩です。
「痛みの軽減」「睡眠改善」「自律神経調整」など、科学的根拠に基づいた説明を意識しましょう。
🔸3. チーム医療における役割分担
- 保健師:健康指導・予防啓発・地域ネットワークの中心
- 鍼灸師:身体的・心理的な不調の緩和・自然治癒力の促進
互いの強みを活かすことで、心身両面から住民を支える体制を築けます。
🔸4. 地域包括ケアとの連動
近年は、行政・医療・介護・福祉の連携を軸にした「地域包括ケアシステム」が進んでいます。
鍼灸師もこの枠組みの中で、セルフケア指導・健康教育・訪問施術などの形で貢献が期待されています。
鍼灸師が保健師と連携するメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地域課題の把握 | 保健師が持つ地域住民データや健康情報を共有できる |
| 信頼性の向上 | 行政・保健機関との協働で鍼灸の社会的信頼が高まる |
| 施術対象の拡大 | 妊産婦・高齢者・慢性疾患患者などへの支援が可能 |
| チーム医療の実践 | 医療・介護職と共に包括的ケアを提供できる |
まとめ|保健師と鍼灸師が協働する未来へ
保健師は、地域や職場で人々の健康を守る「予防の専門家」。
鍼灸師は、身体の不調を整え自然治癒力を引き出す「治療と回復の専門家」。
この両者が連携することで、
✅ 地域住民の健康意識向上
✅ 生活習慣病や慢性痛の予防
✅ 精神的・身体的ケアの両立
が実現できます。
鍼灸師として地域医療に関わる際には、保健師をはじめとした多職種との協働を意識し、
「予防 × 治療 × 教育」の三本柱で健康支援に取り組むことが大切です。
関連:鍼灸師と助産師の他職種連携は可能か?
関連:産後の体調回復に効果的なツボ
関連:睡眠の質を高めるツボ4選
関連:生理痛に効果的なツボとお灸
関連:ことわざ「お灸をすえる」とは?意味や使い方




