厚生労働省は、2024年5月20日、「第10回 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」を開催しました。この検討会では、これらの医療従事者が行う広告に関する規制やガイドラインの見直しについて議論が行われました。その中で、日本鍼灸大学として重要なポイントを要約しました。
参考資料1:第10回あはき師及び柔道整復師等の広告に関する検討会議事録
参考資料2:第10回あはき師及び柔道整復師等の広告に関する検討会資料一覧
広告に関する検討会の主要な議題
1. インターネット広告の取り扱い
インターネット広告の普及に伴い、従来の広告規制が適用しにくくなっている現状が報告されました。特に、SNSやウェブサイトを通じた情報発信が増える中、適切な規制のあり方について議論が行われました。参加者からは、デジタルプラットフォーム上での広告の透明性と信頼性を確保するためのガイドラインの必要性が指摘されました。
2. 患者の声を利用した広告
患者の体験談や口コミを広告に使用する際のガイドラインについても議論されました。特に、誇張や虚偽の表現を防ぐための具体的な基準が求められており、今後の規制強化が検討されています。
3. 許容される広告内容の明確化
現行の規制では、許容される広告内容が曖昧な部分があるため、具体的な基準を明確化する提案が出されました。特に、治療効果やサービス内容に関する表示の適正化が重要視されています。
あはき・柔整広告ガイドラインに記載する内容(案)で特筆すべきポイント
今回、広告不可な名称についてのガイドライン内で案が提出されています。資料:あはき・柔整広告ガイドラインに記載する内容(案)より一部を抜粋します。
広告不可な名称の例(資料より一部引用)
以下の名称は、広告に使用することができません。特に留意すべき表現です。なお、これらの名称は、英語など他の言語に変えても広告不可であることに留意してください。
1. 「病院又は診療所等」と誤解する恐れがあるもの
- 例: ○○診療所、○○治療所、○○治療室、○○療院、○○はり科療院、○○治療院、メディカル、クリニック、リハビリ、ドック 等
2. あはき、柔整以外の施術所と紛らわしい名称
- 例: カイロプラクティック、整体、リラクゼーション、リフレクソロジー、アスレチック、コンディショニング、リラックス、サポート 等
3. 提供する施術業態が混ざっている名称
- 例: ○○鍼灸接骨院、○○マッサージ接骨院 等
4. 対象者を限定するもの
- 例: ○○女性専門療院、○○レディース、子ども、スポーツ、アスリート、美容、交通事故専門、むちうち専門 等
5. 施術内容・技能・方法を含んでいる名称
- 例: 東洋医学、温鍼、中国鍼灸、美容鍼灸、不妊鍼灸、更年期障害、背骨専門、漢方、気功、無痛治療、電気療法 等
6. 効能を含んでいる名称、優良な施術所と思わせる名称
- 例: 姿勢改善、小顔矯正、骨盤矯正、たくみ 等
7. 広告不可とされている名称と広告可能とされている名称を併記している名称
- 例: メディカル○○鍼灸院、サロン○○接骨院 等
8. その他、施術所と分かりにくい名称
- 例: ○○堂、○○館、○○道場、○○センター、○○ステーション、サロン、ほぐし処、研究所 等
「整骨院」の取扱いについて
「整骨院」の取扱いに関しては、第10回検討会の議論を踏まえて検討されます。
今後のあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会の方向性
今回の検討会で決定ではなく、厚生労働省は第10回までの検討会での議論を基に、今後の広告規制の見直しを進める方針です。新しいガイドラインの策定に向けて、さらなる意見交換と調整が行われる予定です。
検討会のまとめ
「第10回 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」では、現行の広告規制の見直しに向けた具体的な議論が行われました。インターネット広告の取り扱いや患者の声を利用した広告の基準明確化など、多岐にわたる課題について議論が進められ、今後の新たなガイドライン策定に向けた一歩が踏み出されています。鍼灸師は医療従事者として知らないのではなく、ぜひ、上記リンク先の資料をお読みください。
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