熱中症対策と頭痛の関連性|東洋医学で考える原因と予防法

熱中症と頭痛の関係|夏に注意したい体のサイン

夏の暑い季節、屋外での活動や冷房の効かない室内で「頭が痛い」と感じることはありませんか?
その頭痛、もしかすると 熱中症の初期症状 かもしれません。

熱中症は、体温調節機能が乱れることで体内に熱がこもり、さまざまな症状を引き起こす状態です。
特に頭痛は、脱水・塩分不足・自律神経の乱れなどが重なったときに現れるサインです。

ここでは、熱中症と頭痛の関連性、そして東洋医学の視点から見たケア方法について詳しく解説します。


熱中症とは?

熱中症は、体温が上がりすぎて体の熱をうまく外に逃がせなくなった状態です。
外気温・湿度が高い環境で起こりやすく、屋外だけでなく屋内でも発生します。

主な症状

  • 初期症状:めまい、立ちくらみ、大量の汗、顔のほてり
  • 中等症:頭痛、吐き気、全身のだるさ、筋肉のけいれん
  • 重症:意識障害、けいれん、高体温(40℃以上)

初期の「頭痛」「だるさ」は、体が危険信号を出しているサインです。早めの対処が重要です。


頭痛と熱中症の関連性

熱中症による頭痛の多くは、体内の水分・塩分の不足、自律神経の乱れ、体温の上昇が原因です。
それぞれのメカニズムを理解することで、効果的な予防ができます。

水分不足による頭痛

大量の汗をかくと、体内の水分が急速に失われます。
脱水になると血液がドロドロになり、脳への血流が悪化し頭痛が発生します。

💧 対策:のどが渇く前に少しずつ水分を補給する。常温またはスポーツドリンクが理想的です。


塩分不足(ナトリウム欠乏)

汗とともにナトリウムも失われると、体液のバランスが崩れます。
この電解質の乱れが筋肉のけいれんや頭痛の原因になります。

対策:水分とともに塩分補給を。経口補水液や塩分タブレットが有効です。


体温上昇による頭痛

体温が上がると脳の血管が拡張し、拍動性の頭痛(ズキズキする痛み)が起きやすくなります。
この状態を放置すると熱射病に進行する恐れもあります。

🌡 対策:首・脇・太ももの付け根など「太い血管が通る部位」を冷やすのが効果的。


東洋医学で見る熱中症と頭痛

東洋医学では、熱中症は「暑邪(しょじゃ)」と呼ばれる外邪(外からの邪気)が体に侵入した状態と考えます。
暑邪は「気(エネルギー)」や「津液(水分)」を消耗させ、体のバランスを崩します。

特に、暑邪により以下のような症状が現れます:

  • 頭が重い・ぼーっとする
  • 顔のほてり・のぼせ
  • 倦怠感・食欲不振

このような症状を整えるために、鍼灸では自律神経と水分代謝を整える施術を行います。


鍼灸・ツボケアでできる熱中症予防

軽度の頭痛や倦怠感のときには、ツボを刺激して体のバランスを整えるセルフケアも有効です。

💧 合谷(ごうこく)

  • 位置:手の甲側、親指と人差し指の骨が交わる部分
  • 効果:頭痛・めまい・倦怠感を和らげる万能ツボ。自律神経を整えます。

☀️ 百会(ひゃくえ)

  • 位置:頭のてっぺん、両耳を結んだ線の中央
  • 効果:のぼせ・頭重感・イライラを緩和。頭部の血流を促します。

🌿 足三里(あしさんり)

  • 位置:膝下、外側のすねの骨から指4本分下
  • 効果:胃腸の働きを整え、全身の疲労回復をサポート。

🌀 ポイント
ツボ押しは強く押さず、「心地よい圧」でゆっくり深呼吸をしながら行いましょう。


熱中症対策の基本

  1. こまめな水分補給
     1時間に1回は水分を摂りましょう。スポーツドリンクで塩分も補給。
  2. 涼しい環境を確保
     エアコン・扇風機を上手に使い、室温を28℃以下に保つ。
  3. 服装の工夫
     通気性の良い、明るい色の服を選びましょう。帽子や日傘で直射日光を避けるのも効果的。
  4. 睡眠と栄養
     疲労や睡眠不足は熱中症のリスクを高めます。バランスの取れた食事と十分な休息を心がけましょう。

まとめ|熱中症の頭痛は「体からのSOS」

熱中症による頭痛は、体が発する危険信号のひとつです。
水分・塩分補給、体温調節、そして東洋医学的なアプローチを組み合わせることで、症状を予防・緩和できます。

特に、ツボ押しや鍼灸は自律神経のバランスを整え、熱中症に負けない体づくりに役立ちます。

もし頭痛や倦怠感が強い場合は、早めに医療機関や鍼灸院に相談しましょう。

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